この集計から読み取れる最も重要な事実は、出題が一部の科目に強く偏っていることです。PTでは生理学・解剖学・運動学の基礎3科目だけで全体の34.2%を占め、上位6科目で全体の半数に達します。OTではさらに偏りが大きく、精神医学が単独で39問(19.7%)、上位4科目で半数を超えます。裏を返せば、下位の科目をいくら完璧にしても、上位科目の取りこぼしは取り返せません。
理学療法士(PT)第61回 科目別出題数
出題数の多い順(全18科目・計199問)
数値の表で見る(順位・出題数・全体比・累積比)
| 順位 | 科目 | 出題数 | 全体比 | 累積比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 生理学 | 27 | 13.6% | 13.6% |
| 2 | 解剖学 | 22 | 11.1% | 24.6% |
| 3 | 運動学 | 19 | 9.5% | 34.2% |
| 4 | 内部障害 | 14 | 7.0% | 41.2% |
| 5 | 病理学 | 14 | 7.0% | 48.2% |
| 6 | 神経筋疾患 | 14 | 7.0% | 55.3% |
| 7 | 精神医学 | 14 | 7.0% | 62.3% |
| 8 | 制度・社会 | 12 | 6.0% | 68.3% |
| 9 | 整形外科 | 10 | 5.0% | 73.4% |
| 10 | 発達・小児 | 10 | 5.0% | 78.4% |
| 11 | 脳血管障害 | 10 | 5.0% | 83.4% |
| 12 | 呼吸器 | 6 | 3.0% | 86.4% |
| 13 | 老年期 | 6 | 3.0% | 89.4% |
| 14 | 評価・ADL | 6 | 3.0% | 92.5% |
| 15 | 義肢装具 | 5 | 2.5% | 95.0% |
| 16 | 循環器 | 4 | 2.0% | 97.0% |
| 17 | 研究法・統計 | 3 | 1.5% | 98.5% |
| 18 | 脊髄損傷 | 3 | 1.5% | 100.0% |
| 合計 | 199 | 100.0% | — | |
PTは基礎3科目(生理学・解剖学・運動学)で68問と、全体の3分の1を占めます。これらはPT・OT共通問題の柱でもあるため、対策の費用対効果が最も高い領域です。続く内部障害・神経筋疾患・病理学・精神医学は各14問で横並びとなり、ここが得点差のつきやすい層になります。
作業療法士(OT)第61回 科目別出題数
出題数の多い順(全19科目・計198問)
数値の表で見る(順位・出題数・全体比・累積比)
| 順位 | 科目 | 出題数 | 全体比 | 累積比 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 精神医学 | 39 | 19.7% | 19.7% |
| 2 | 生理学 | 24 | 12.1% | 31.8% |
| 3 | 解剖学 | 19 | 9.6% | 41.4% |
| 4 | 制度・社会 | 17 | 8.6% | 50.0% |
| 5 | 病理学 | 13 | 6.6% | 56.6% |
| 6 | 内部障害 | 11 | 5.6% | 62.1% |
| 7 | 運動学 | 11 | 5.6% | 67.7% |
| 8 | 発達・小児 | 10 | 5.1% | 72.7% |
| 9 | 脳血管障害 | 10 | 5.1% | 77.8% |
| 10 | 作業療法学 | 9 | 4.5% | 82.3% |
| 11 | 整形外科 | 9 | 4.5% | 86.9% |
| 12 | 神経筋疾患 | 9 | 4.5% | 91.4% |
| 13 | 義肢装具 | 4 | 2.0% | 93.4% |
| 14 | 評価・ADL | 4 | 2.0% | 95.5% |
| 15 | 呼吸器 | 2 | 1.0% | 96.5% |
| 16 | 循環器 | 2 | 1.0% | 97.5% |
| 17 | 研究法・統計 | 2 | 1.0% | 98.5% |
| 18 | 脊髄損傷 | 2 | 1.0% | 99.5% |
| 19 | 老年期 | 1 | 0.5% | 100.0% |
| 合計 | 198 | 100.0% | — | |
OTの特徴は精神医学の突出です。39問は2位の生理学(24問)を15問引き離しており、単独で全体の約5分の1を占めます。統合失調症・気分障害・認知症・依存症といった主要領域を落とすと、他科目での挽回が現実的に難しくなります。一方で老年期1問、呼吸器・循環器・脊髄損傷・研究法が各2問と、下位科目の出題は極端に少なくなっています。
PTとOTで何が違うか
ほぼ同数の出題でも、配分の形はかなり違います。PTは基礎医学(生理・解剖・運動)に重心があり、OTは臨床(精神医学)と制度に重心があります。共通問題を共有していながらこの差が出るのは、専門問題の性格が異なるためです。
集計方法(この数値の作り方)
データの信頼性は、集計方法が明示されているかで決まります。本データは以下の方法で作成しています。
対象
第61回理学療法士国家試験・作業療法士国家試験(2026年2月実施)の全200問のうち、厚生労働省の正答値表で正答が示されなかった問題(採点除外)を除いた、理学療法士199問・作業療法士198問を対象としています。午前・午後、一般問題・実地問題、専門問題・共通問題をすべて含みます。
採点除外となったのは、理学療法士が午前20問の1問、作業療法士が午前42問・午後34問の2問です。複数の選択肢が正答として認められた問題(いわゆる複数正答)は採点対象であるため、集計に含めています(理学療法士7問・作業療法士6問)。判定はすべて、厚生労働省が公表する正答値表の正答欄を1問ずつ確認して行いました。
分類の原則
1問につき1科目を割り当てる単一分類です。そのため合計は必ず採点対象数(PT199問・OT198問)と一致し、全体比の合計は100%になります。判断は次の3つのルールで固定しています。
ルール1:設問が最後に問うている内容で決める。症例の背景(年齢・疾患名など)は分類の根拠にしません。たとえば「脳出血の患者に関節可動域検査を行う際に正しいのはどれか」は、脳血管障害ではなく検査手技を問う設問なので「評価・ADL」に分類します。
ルール2:制度の仕組みを問うか、尺度の中身を問うかで分ける。総合事業や保険給付の仕組みそのものを問う設問は「制度・社会」、その中で使う評価尺度の項目や実施方法を問う設問は対象領域の科目(老年期など)に分類します。
ルール3:特定の評価尺度・測定手技は「評価・ADL」、面接や治療的関係などの一般技法は「作業療法学」。両者は隣接するため、この線引きで統一しています。
また、国家試験は午前・午後とも問1〜50が専門分野、問51〜100が共通問題(専門基礎分野)という構成です。共通問題に専門系科目(評価・ADL、作業療法学)を割り当てていないか、専門問題に基礎系科目を割り当てていないかを、機械的な照合で検査しています。
検証
集計値は次の2つの方法で独立に検証しています。ひとつは、正答値表PDFを座標解析と行テキスト解析の2方式で読み取り、200問すべての正答が一致することを確認する方法です。もうひとつは、厚生労働省が公表する合格基準の満点から逆算する方法で、理学療法士277点・実地117点、作業療法士278点・実地120点という公表値が、採点除外を理学療法士1問(実地)・作業療法士2問(一般)とした場合の計算値と完全に一致することを確認しています。
出典
問題および正答は、厚生労働省が公表する「第61回理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答」に基づいています。科目分類および集計は株式会社Network-Primerが独自に行ったものです。
データの利用について
本データは出典を明記していただければ、引用・転載・二次利用いただけます(授業資料、勉強会、記事、研究など用途を問いません)。事前のご連絡は不要です。
出典表記の例:
株式会社Network-Primer「PT・OT国家試験 科目別出題数データベース(第61回)」
https://network-primer.vercel.app/kokushi/shutsudai-data.html
数値の誤りにお気づきの場合や、掲載についてのご相談はお問い合わせからご連絡ください。確認のうえ修正し、更新履歴に記載します。
修正履歴
2026年7月25日:集計対象を192問から199問/198問に修正
修正前:採点対象を理学療法士・作業療法士とも192問として集計していました。
修正後:理学療法士199問・作業療法士198問に改めました。
理由:厚生労働省の正答値表を1問ずつ照合したところ、複数の選択肢が正答として認められた問題(複数正答)を、誤って採点除外として集計から外していたことが判明しました。複数正答は採点対象であり、集計に含めるのが正しい扱いです。該当は理学療法士7問(午前42・60・98問、午後30・57・68・75問)、作業療法士6問(午前50・60・98問、午後57・68・75問)です。
真に採点除外だったのは、正答値表で正答欄が空欄となっている問題のみで、理学療法士は午前20問の1問、作業療法士は午前42問・午後34問の2問でした。修正後の合計(192+7=199、192+6=198)は、正答値表から算出される採点対象数と完全に一致します。
裏付け:合格基準の満点からも検算しています。国家試験は一般問題160問×1点+実地問題40問×3点の280点満点です。採点除外が理学療法士の午前20問(実地)1問だけなら満点は277点、実地の満点は117点となり、厚生労働省の公表値(277点・117点)と一致します。作業療法士も、除外2問がいずれも一般問題であることから満点278点・実地120点となり、公表値と一致します。仮に除外が8問であれば満点は270点前後となり、公表値と矛盾します。
数値の誤りは、気づいた時点で理由とともに公開して修正します。過去の数値を黙って差し替えることはしません。
このデータをどう使うか
出題数を眺めるだけでは点数は上がりません。実際の勉強に落とすには、次の3つの順序が有効です。
1.自分の弱点と、配点の大きさを掛け合わせる
苦手科目が複数あるとき、優先すべきは「最も苦手な科目」ではなく「苦手 × 出題数が大きい科目」です。まず弱点診断(12問・無料)で現在地を把握し、本ページの出題数と突き合わせてください。
2.上位科目から解説を読み、過去問で確かめる
科目ごとの解説はPT科目別ダッシュボード/OT科目別ダッシュボードから、実際の問題演習は第61回・第60回の過去問からどうぞ。いずれも無料・登録不要です。
3.下位科目は直前期にまとめる
出題数の少ない科目は範囲も狭く、短期間で仕上がります。捨てるのではなく、直前期に集中して得点化するのが効率的です。詳しくはPTの勉強優先順位/OTの勉強優先順位で解説しています。