身体障害|作業療法士(OT)国家試験 過去問まとめ

作業療法士国家試験の身体障害分野を、複数年分まとめて対策できるページです。脳血管障害・整形外科疾患(骨折・関節疾患)・脊髄損傷・切断など、身体障害領域は作業療法士国家試験で最大級のボリュームを占める分野です。(神経難病は別ページ「神経筋疾患」に収録)

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施身体障害 出題数収録
第61回2026年2月19問✅ 解説あり
第60回2025年2月23問✅ 解説あり
第59回2024年2月順次追加
第58回2023年2月順次追加
第57回2022年2月順次追加

第56〜59回は、厚生労働省の公表資料をもとに順次追加していきます。

頻出テーマ(複数年で押さえたい論点)

  • 脳血管障害:片麻痺のADL・上肢機能、高次脳機能障害
  • 整形外科:骨折・人工関節後のリハ、手の外科
  • 脊髄損傷:損傷高位別のADL(別途「脊髄損傷」も参照)
  • 切断・義肢:義手の種類と操作
  • 高次脳機能障害:失行・失認・半側空間無視

第61回(2026年2月実施)

身体障害として出題された問題です。全問の正答・解説は 第61回 OT 全問ページ でも確認できます。

#時間帯区分正答
問2午前実地1
問5午前実地5
問6午前実地2
問13午前実地2
問2午後実地3
問3午後実地5
問4午後実地3
問8午後実地3
問21午後一般3
問32午後一般5
問32午前一般3
問34午前一般5
問38午前一般1
問74午前共通1
問89午前共通2
問7午後実地2
問9午後実地4
問88午後共通3
問89午後共通2

午前 問2(実地・正答 1)

ポイント:突然発症の頭痛でCT異常(くも膜下出血等)。左半球(右利きで優位半球)病変では失算(Gerstmann症候群の一徴)等の症状がみられる。

  • 1:左頭頂葉(角回)病変で失算が生じる(Gerstmann症候群)。
  • 2:運動失語は左前頭葉(Broca野)病変だが、本症例のCT所見に対応する主症状は失算。
  • 3:着衣失行は右頭頂葉病変。
  • 4:身体部位失認は頭頂葉病変だが優位半球の失算が該当。
  • 5:左半側視空間失認は右頭頂葉病変で生じる(左病変では非典型)。

午前 問5(実地・正答 5)

ポイント:上肢:肘伸展位で頭上まで屈曲・外転100度可能=分離運動が進んだステージⅤ。手指:対向つまみ+集団伸展可能=ステージⅤ。よって上肢Ⅴ手指Ⅴ。

  • 1:ステージⅢは共同運動出現段階で、頭上挙上は不可。
  • 2:手指Ⅳは横つまみ程度。集団伸展可能はⅤ。
  • 3:上肢Ⅳは分離運動が一部出現する程度で頭上挙上は困難。
  • 4:手指の集団伸展可能はⅤであり、手指Ⅳは不適。
  • 5:肘伸展位での頭上挙上(分離運動)=上肢Ⅴ、対向つまみ+集団伸展=手指Ⅴ。

午前 問6(実地・正答 2)

ポイント:BRSがほぼ良好(上肢Ⅵ・下肢Ⅵ)で認知・言語・移動に問題なく、経理事務(PC作業)に復帰予定。復職支援としてまず通勤手段の確認など実際的な環境調整を行う。

  • 1:機能が良好で配置転換を求める必要はない。
  • 2:通勤手段の確認は復職に向けた実際的・環境的支援として適切。
  • 3:ADLは自立しており集中的ADL訓練は不要。
  • 4:診断書だけで復職できると断定するのは不適切(職場との調整が必要)。
  • 5:手指Ⅴで事務作業は可能。運動機能改善を待つ必要はない。

午前 問13(実地・正答 2)

ポイント:右利きで右上肢が重度麻痺(BRS上肢Ⅲ・手指Ⅱ)。右手の実用的回復が困難なため、左手(非麻痺側)への利き手交換訓練を行い、更衣・食事等のADL自立を図るのが現実的で適切。

  • 1:集団活動の導入は現段階の最優先ではない。
  • 2:右利きで右手が重度麻痺のため、左手への利き手交換訓練でADL自立を図る。
  • 3:上肢機能回復のみを優先せず、実用的なADL獲得(利き手交換)を進める。
  • 4:食事はFIM6(自立に近い)で積極訓練の優先度は低い。
  • 5:園芸への関心は尊重すべきで、退院後課題と切り捨てるのは不適切。

午後 問2(実地・正答 3)

ポイント:右頭頂葉病変で左半側空間無視が生じる。車椅子駆動時に無視側(左)によくぶつかるのが典型的な観察所見。

  • 1:無視側は左なので皿の左側を残す(右側ではない)。
  • 2:左半側空間無視では左側への注意が向かず、左からの起き上がりが困難。
  • 3:左半側空間無視により車椅子駆動時に左側の物にぶつかる。
  • 4:左側からの誘導には反応が悪い(無視側のため)。
  • 5:人が多いと無視側(左)でなく健側(右)に注意がそれる。

午後 問3(実地・正答 5)

ポイント:半側空間無視に対しては、プリズム適応療法(プリズム眼鏡で視空間をずらし順応させる)が有効な訓練法として知られる。

  • 1:ペグ法は記憶障害への外的補助。
  • 2:間隔伸長法は記憶障害の訓練法。
  • 3:自己教示法は遂行機能・注意障害への言語的自己制御法。
  • 4:問題解決訓練は遂行機能障害向け。
  • 5:プリズム適応療法は半側空間無視の改善に有効。

午後 問4(実地・正答 3)

ポイント:会話が急に変わる・段取りよく片付けられない=遂行機能障害。これを評価する初期検査はBADS(遂行機能障害症候群の行動評価)。

  • 1:BITは半側空間無視の検査。
  • 2:CASは小児の認知評価尺度。
  • 3:BADSは遂行機能障害を評価する。本症例に適切。
  • 4:SLTAは失語症検査。
  • 5:HDS-Rは認知症スクリーニングで遂行機能の詳細評価には不十分。

午後 問8(実地・正答 3)

ポイント:BRS良好(上肢Ⅴ・手指Ⅴ)・認知良好で、内装業からの転職を含む復職支援。職場環境での職業評価(実際の作業能力・環境適合の評価)を行うのが適切。

  • 1:運動機能は良好で機能改善のみを目指す段階ではない。
  • 2:就労後の定着支援も重要で、雇用されたら終了は不適。
  • 3:職場環境での職業評価を行い、適職・必要な配慮を検討する。
  • 4:認知・運動とも良好で通勤に家族付き添いは不要。
  • 5:課題がなくなるまで無期限に続けるのは非現実的。

午後 問21(一般・正答 3)

ポイント:脳卒中急性期でも早期離床により廃用症候群(筋萎縮・関節拘縮・起立性低血圧等)を予防することが重要。

  • 1:生活歴の情報収集は目標設定に必要で不要ではない。
  • 2:点滴中でも状態が安定していれば作業療法は開始できる。
  • 3:早期離床で廃用症候群を予防する。
  • 4:ベッド上ADL訓練は急性期でも適応があり禁忌ではない。
  • 5:弛緩性麻痺でも関節可動域訓練は拘縮予防に必要。

午後 問32(一般・正答 5)

ポイント:観念運動失行では、口頭命令や模倣で「敬礼」等の意味ある動作を行えない(道具なしの単一動作の障害)。

  • 1:遂行機能障害では計画立案が障害される(保たれるは誤り)。
  • 2:半側空間無視は視野欠損とは異なる(視野は保たれうる)。
  • 3:視覚失認では物品を視覚的に呼称できない(色の濃淡は本質でない)。
  • 4:観念失行では道具の一連の操作(系列動作)が障害される(可能は誤り)。
  • 5:観念運動失行では検者の「敬礼」の模倣ができない。

午前 問32(一般・正答 3)

ポイント:骨盤骨折は後腹膜腔の大血管損傷を伴いやすく、大量出血→出血性ショックのリスクが最も高い。

  • 1:橈骨遠位端骨折の出血量は少ない。
  • 2:腰椎圧迫骨折の出血リスクは低い。
  • 3:骨盤骨折は後腹膜出血で大量出血→出血性ショックのリスクが高い。
  • 4:大腿骨頸部骨折も出血するが骨盤骨折ほどではない。
  • 5:足関節骨折の出血量は少ない。

午前 問34(一般・正答 5)

ポイント:慢性腰痛では、重い荷物を体に近づけて持ち上げることで腰椎への負担(モーメント)を減らす。

  • 1:安静臥床は慢性腰痛ではむしろ推奨されず、適度な活動が有効。
  • 2:踵の高い靴は腰椎前弯を強め腰痛を悪化させる。
  • 3:中腰での持続作業は腰部負担が大きい。
  • 4:あぐら座位は骨盤後傾で腰椎に負担。適切な座位姿勢が重要。
  • 5:荷物を体に近づけて持つとモーメントが減り腰部負担が軽減する。

午前 問38(一般・正答 1)

ポイント:関節リウマチは滑膜炎が病態の中心で、滑膜細胞が増殖しパンヌスを形成して関節を破壊する。

  • 1:RAでは滑膜細胞が増殖(パンヌス形成)し関節を破壊する。
  • 2:渦流浴(温熱)は禁忌ではなく、非活動期には有用。
  • 3:朝はこわばりが強いため、家事は午後が適する(午前は不適)。
  • 4:RAは手指の小関節(MCP・PIP)に初発することが多い(大関節初発は非典型)。
  • 5:疼痛・変形に対して装具(スプリント)を使用する。

午前 問74(共通・正答 1)

ポイント:内側半月板は内側側副靱帯(MCL)と結合しており、MCL損傷時に内側半月も損傷しやすい(unhappy triad)。

  • 1:内側半月板は内側側副靱帯と結合している。
  • 2:屈曲初期は転がり運動、屈曲が進むと滑り運動が増える(転がりが増えるは誤り)。
  • 3:大腿筋膜張筋は膝伸展位で膝伸展、屈曲位では屈曲を補助(腸脛靱帯経由)。「膝屈曲位で膝伸展」は不正確。
  • 4:内側側副靱帯は幅広く強靱で、外側側副靱帯より太い(細いは誤り)。
  • 5:膝内旋に働くのは半腱様筋・半膜様筋等(大腿二頭筋は外旋筋)。

午前 問89(共通・正答 2)

ポイント:Kienböck病(月状骨軟化症)は成人男性(20-40歳の手をよく使う労働者)に好発する。

  • 1:Freiberg病(第2中足骨頭壊死)は若年女性に多い。
  • 2:Kienböck病は成人男性に好発する月状骨壊死。
  • 3:Osgood-Schlatter病は成長期のスポーツ少年(10代)に多い。
  • 4:Perthes病(大腿骨頭壊死)は小児(4-8歳男児)に多い。
  • 5:Sever病(踵骨骨端症)は成長期の小児に多い。

午後 問7(実地・正答 2)

ポイント:後方進入法による人工骨頭置換術後は、脱臼肢位である股関節の過屈曲・内転・内旋を避けるADL動作を指導する。選択肢2の図が、これら禁忌肢位を回避した正しい動作方法を示している。

  • 1:股関節の過屈曲や内転・内旋を伴い、後方脱臼の危険がある動作。
  • 2:股関節の過屈曲・内転・内旋を避けた、脱臼肢位をとらない正しい動作。
  • 3:深くしゃがむ・脚を組むなど脱臼肢位をとる危険な動作。
  • 4:患側を内旋・内転させる動作で後方脱臼のリスクがある。
  • 5:股関節90度を超える過屈曲を伴う動作で脱臼の危険がある。

午後 問9(実地・正答 4)

ポイント:変形性膝関節症(X線で関節裂隙狭小化)。関節への荷重負担が少なく運動できる水中歩行が推奨される。

  • 1:安静は筋力低下・廃用を招き推奨されない。
  • 2:正座は膝関節を深屈曲し負担が大きく不適。
  • 3:階段昇降は膝への荷重負担が大きい。
  • 4:水中歩行は浮力で膝への荷重を減らしつつ運動でき推奨される。
  • 5:ジョギングは膝への衝撃が大きく不適。

午後 問88(共通・正答 3)

ポイント:アキレス腱断裂ではThompsonテスト(腓腹筋を握っても足が底屈しない)が陽性となる。

  • 1:断裂するとつま先立ち(片脚)は困難になる。
  • 2:中年のスポーツ愛好者に多い(学童期ではない)。
  • 3:Thompsonテスト陽性(下腿三頭筋把持で底屈が起こらない)。
  • 4:足関節底屈位(尖足位)でギプス固定する(背屈位は断端を離開させ禁忌)。
  • 5:陳旧例は腱の短縮・退縮のため端々縫合が困難で、腱移植・補強術が必要。

午後 問89(共通・正答 2)

ポイント:手の舟状骨骨折は血行が遠位から近位への逆行性で乏しく、近位骨片が阻血性壊死・偽関節を生じやすい。

  • 1:鎖骨遠位部は偽関節を生じることもあるが舟状骨ほど高頻度ではない。
  • 2:手の舟状骨は血行の特性から偽関節・阻血性壊死を生じやすい。
  • 3:橈骨遠位端は血行が豊富で癒合しやすい。
  • 4:中手骨骨幹部は癒合しやすい。
  • 5:上腕骨骨幹部は偽関節もあるが舟状骨ほどではない。

第60回(2025年2月実施)

身体障害は第60回で23問出題。各問の詳しい解説は 第60回 身体障害 詳細ページ にまとめています。

トピック別の出題数(第60回)

トピック出題数主な内容
脳血管障害7問半側空間無視(視覚走査法)、BRS段階別訓練、FIM採点、CI療法、SOAP記録
脊髄損傷4問C4完全麻痺(ECS)、C6(住宅改修)、AIS分類、ASIA
整形外科4問槌指(マレット)、尺骨神経麻痺(ナックルベンダー)、RA(関節保護指導)、CRPS
高次脳機能障害3問BADS(遂行機能)、FAB(前頭葉)、視覚走査法
がんリハ・リンパ浮腫1問上肢挙上、軽い運動推奨、強いマッサージ禁忌
FIM・ADL2問移乗の採点(4点=最小介助)、浅く腰掛けて前傾→立ち上がり

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第60回・第61回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-07-18

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