脳血管障害|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ
理学療法士国家試験の脳血管障害分野を、複数年分まとめて対策できるページです。片麻痺の評価尺度(SIAS・FMA・NIHSS)、高次脳機能障害(半側空間無視・失語・注意障害)、Pusher現象、痙縮への対応、急性期の画像診断など出題範囲が広い分野で、第60回・第61回はいずれも10問が出題されています。年度をまたいで解くことで、繰り返し問われるテーマが見えてきます。
問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
収録状況
| 年度 | 実施 | 脳血管障害 出題数 | 収録 |
|---|---|---|---|
| 第61回 | 2026年2月 | 10問 | ✅ 解説あり |
| 第60回 | 2025年2月 | 10問 | ✅ 解説あり |
| 第59回 | 2024年2月 | ― | 順次追加 |
| 第58回 | 2023年2月 | ― | 順次追加 |
| 第57回 | 2022年2月 | ― | 順次追加 |
第56〜59回は、厚生労働省の公表資料をもとに順次追加していきます。
頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)
- 脳卒中の評価尺度:SIASの評価項目と実施方法、Fugl-Meyer Assessment(FMA)の構成、NIHSSに含まれる項目
- 高次脳機能障害:半側空間無視のスクリーニング(線分抹消試験)、失語のタイプ分類、注意障害の検査(CAT)
- Pusher現象:評価尺度(SCP)と、非麻痺側への重心移動を促す介入
- 片麻痺の合併症とリスク管理:肩関節亜脱臼への配慮、内反尖足の痙縮とボツリヌス療法、転倒リスク評価(TUG)
- 急性期の検査・画像診断:超急性期脳梗塞に対するMRI(拡散強調画像)、くも膜下出血の早期診断
第61回(2026年2月実施)
脳血管障害は10問出題(実地6問・一般4問/推定配点22点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。
| # | 時間帯 | 区分 | テーマ | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問4 | 午前 | 実地 | Pusher現象の評価尺度 | 1 |
| 問5 | 午前 | 実地 | Pusher現象への介入 | 5 |
| 問33 | 午前 | 一般 | SIASの評価項目 | 5 |
| 問37 | 午前 | 一般 | 注意障害の検査 | 2 |
| 問3 | 午後 | 実地 | 肩関節亜脱臼を伴う片麻痺のADL動作 | 3 |
| 問11 | 午後 | 実地 | 超急性期脳梗塞の画像検査 | 1 |
| 問15 | 午後 | 実地 | 内反尖足へのボツリヌス療法 | 1 |
| 問20 | 午後 | 実地 | 失語のタイプ分類 | 5 |
| 問33 | 午後 | 一般 | SIASの実施方法 | 4 |
| 問37 | 午後 | 一般 | 高次脳機能を含む脳卒中スケール | 5 |
午前 問4(実地・正答 1)
ポイント:右上下肢で押して正中位への修正に抵抗する=Pusher現象(プッシャー症候群)。これを評価するのはSCP(Scale for Contraversive Pushing)。
- ✅ 1:SCPはPusher現象(対側への押しつけ)を定量評価する尺度。本症例の病態に最適。
- ❌ 2:SLTAは標準失語症検査。失語の記載はない。
- ❌ 3:TMTは注意・遂行機能検査。
- ❌ 4:WAIS-Ⅳは知能検査。
- ❌ 5:WCSTは前頭葉機能(概念転換)検査。
午前 問5(実地・正答 5)
ポイント:Pusher現象では非麻痺側へ重心移動できないことが移乗自立を妨げる。リーチ動作を用いて非麻痺側へ能動的に重心移動する練習が最も適切。
- ❌ 1:閉眼では視覚による垂直定位の手がかりが失われ、Pusherが悪化する。
- ❌ 2:右上下肢の関節可動域運動はPusher改善に直接寄与しない。
- ❌ 3:右大腿四頭筋の筋力増強は押しつけをむしろ強める可能性。
- ❌ 4:手すりを持つと押しつけの支点を与え、Pusherを助長しうる。
- ✅ 5:非麻痺側へのリーチ動作で能動的に重心移動を促し、垂直定位を再学習させる。
午前 問33(一般・正答 5)
ポイント:SIAS(脳卒中機能評価法)には非麻痺側大腿四頭筋の筋力(非麻痺側の握力・筋力)評価項目が含まれる。
- ❌ 1:注視はSIASの項目ではない。
- ❌ 2:痛覚は含まれない(触覚・位置覚を評価)。
- ❌ 3:病的反射は項目でない。
- ❌ 4:膝関節可動域そのものは評価項目でない。
- ✅ 5:SIASは非麻痺側機能(健側大腿四頭筋筋力・握力)を評価項目に含む。
午前 問37(一般・正答 2)
ポイント:注意障害を評価するのはCAT(標準注意検査法:Clinical Assessment for Attention)。
- ❌ 1:BITは半側空間無視の検査。
- ✅ 2:CATは注意機能(持続・選択・分配・転換)を評価する標準検査。
- ❌ 3:RBMTは日常記憶の検査。
- ❌ 4:SLTAは失語症の検査。
- ❌ 5:VPTAは視覚失認の検査。
午後 問3(実地・正答 3)
ポイント:重度片麻痺(上肢BRS Ⅱ)で肩関節亜脱臼と重度感覚障害を伴う。麻痺側上肢を保護し、亜脱臼を悪化させないADL動作を指導する。
- ❌ 1:麻痺側上肢に牽引や過度の負荷がかかり、亜脱臼を悪化させる動作。
- ❌ 2:麻痺側上肢を下垂・牽引させ、肩関節に負担をかける動作。
- ✅ 3:麻痺側上肢を保護し、亜脱臼を悪化させない適切な動作方法。
- ❌ 4:重度感覚障害のある麻痺側で支持・荷重し、外傷のリスクがある動作。
- ❌ 5:肩関節に負担をかけ、亜脱臼を助長する動作。
午後 問11(実地・正答 1)
ポイント:急性期脳卒中で単純CTで異常なし=超急性期の脳梗塞が疑われる。拡散強調画像(DWI)を含むMRIが超急性期脳梗塞の検出に最も有用。
- ✅ 1:MRI(拡散強調画像DWI)は発症数時間の超急性期脳梗塞を高感度で検出できる。
- ❌ 2:PETは代謝評価で急性期診断には用いない。
- ❌ 3:SPECTは脳血流評価だが超急性期梗塞の第一選択ではない。
- ❌ 4:造影CTは血管病変評価だが、梗塞巣そのものの早期検出はMRIに劣る。
- ❌ 5:X線検査は脳実質の評価に無効。
午後 問15(実地・正答 1)
ポイント:脳卒中後の下肢痙縮で内反尖足を呈する場合、ボツリヌス療法の主な投与筋は後脛骨筋(内反)・下腿三頭筋(尖足)。
- ✅ 1:後脛骨筋は足の内反に働き、内反尖足の痙縮に対するボツリヌス投与筋として適切。
- ❌ 2:前脛骨筋は背屈筋で、痙縮による尖足では過活動筋ではない。
- ❌ 3:短腓骨筋は外反筋で内反尖足の原因筋ではない。
- ❌ 4:長腓骨筋も外反筋。
- ❌ 5:長母指伸筋は母趾背屈筋で内反尖足の主因ではない。
午後 問20(実地・正答 5)
ポイント:言語理解良好・発語流暢・錯語・復唱不良・自己修正の努力(接近行為)=伝導失語。復唱が特に障害されるのが特徴。
- ❌ 1:Broca失語は非流暢で努力性発話。本例は流暢。
- ❌ 2:Wernicke失語は理解障害が重度。本例は理解良好。
- ❌ 3:健忘性失語は喚語困難が主で復唱は保たれる。
- ❌ 4:全失語は理解・表出とも重度障害。
- ✅ 5:伝導失語は理解良好・流暢だが復唱が著明に障害され、音韻性錯語と自己修正(接近行為)を認める。
午後 問33(一般・正答 4)
ポイント:SIASの股屈曲テスト(下肢近位運動)は座位で行い、座位保持が困難な場合は介助してもよい。
- ❌ 1:SIASの上肢触覚は手掌で評価する(手背ではない)。
- ❌ 2:上肢関節可動域項目はSIASに含まれない。
- ❌ 3:手指テストで集団伸展が可能なら1B、完全伸展で2。「集団伸展で1C」は誤り。
- ✅ 4:股屈曲テストでは座位保持が困難な場合、介助して構わない。
- ❌ 5:膝・口テストは記述が不正確。
午後 問37(一般・正答 5)
ポイント:NIHSS(脳卒中重症度スケール)には意識・見当識・注視・視野・顔面麻痺・運動・失調・感覚・言語・構音・消去/無視など高次脳機能評価(言語・無視等)が含まれる。
- ❌ 1:Barthel IndexはADL評価で高次脳機能は含まない。
- ❌ 2:FMA(Fugl-Meyer)は運動機能中心。
- ❌ 3:MAS(Modified Ashworth Scale)は痙縮の評価。
- ❌ 4:Motricity Indexは筋力(運動)の評価。
- ✅ 5:NIHSSは言語・無視・意識など高次脳機能評価を含む。
第60回(2025年2月実施)
脳血管障害は10問出題(実地4問・一般6問/配点18点、うち図表問題1問)。各問の詳しい解説は 第60回 脳血管障害 詳細ページ にまとめています。
| # | 時間帯 | 区分 | テーマ | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問5 | 午前 | 実地 | 肩関節亜脱臼と関節可動域測定 | 4 |
| 問10 | 午前 | 実地 | 半側空間無視のスクリーニング | 3 |
| 問12 | 午前 | 実地 | 転倒リスクの評価 | 1 |
| 問24 | 午前 | 一般 | 障害者総合支援法で追加された対象 | 1 |
| 問30 | 午前 | 一般 | Fugl-Meyer Assessment | 2,5 |
| 問48 | 午前 | 一般 | 小脳梗塞でみられる症候 | 1,3 |
| 問50 | 午前 | 一般 | 三次予防 | 4 |
| 問15 | 午後 | 実地 📷 | 脳血管造影から疑う疾患 | 3 |
| 問91 | 午後 | 一般 | くも膜下出血の早期診断 | 2 |
| 問92 | 午後 | 一般 | 日本で発症数が最も多い脳血管障害 | 1 |
午前 問5(実地・正答 4)
ポイント:肩関節外転の参考可動域は180度。90度以上の外転では前腕を回外させることで、前腕の回旋による代償を防ぎ、純粋な肩関節外転を測定できる。
- ❌ 1:肩関節外転の基本軸は肩峰を通る床への垂直線であり、体幹ではない。
- ❌ 2:肘関節は伸展位で計測するのが原則。屈曲位にする必要はない。
- ❌ 3:肩関節外転の測定では肩甲骨の動きも含めて計測する。肩甲骨を固定するのは肩甲上腕関節の運動のみを評価する場合。
- ✅ 4:90度以上の外転時に前腕を回外することで、上腕骨の外旋を促し、大結節と肩峰のインピンジメントを回避できる。
- ❌ 5:亜脱臼があっても牽引を加えての測定は標準的な方法ではない。脱臼悪化のリスクもある。
午前 問10(実地・正答 3)
ポイント:左片麻痺で麻痺側の食べ残し・磨き残し=左半側空間無視の疑い。線分抹消試験は半側空間無視のスクリーニングに最も適した検査。
- ❌ 1:WAB(Western Aphasia Battery)は失語症の評価。本症例は右利きで左片麻痺(右半球損傷)であり失語は典型的ではない。
- ❌ 2:WCST(Wisconsin Card Sorting Test)は前頭葉機能(遂行機能)の評価。半側空間無視の評価には不適切。
- ✅ 3:線分抹消試験は左半側空間無視の標準的なスクリーニング検査。紙面上の線分を抹消させ、左側の見落としを評価する。
- ❌ 4:パントマイムは失行の評価。本症例の主訴と合致しない。
- ❌ 5:SCP(Scale for Contraversive Pushing)はpusher症候群の評価。体幹が麻痺側に傾く所見はあるが、食べ残しの主症状は半側空間無視を示唆。
午前 問12(実地・正答 1)
ポイント:TUG(Timed Up and Go)は高齢者の動的バランス・歩行能力・転倒リスクを簡便に評価できる検査。通所リハでの転倒リスク評価に最適。
- ✅ 1:TUGは椅子からの起立→3m歩行→方向転換→着座の時間を計測。転倒リスクの評価に広く使用。13.5秒以上で転倒リスクが高い。
- ❌ 2:NIHSS(NIH Stroke Scale)は脳卒中の重症度評価。転倒リスク評価ではない。
- ❌ 3:UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)はParkinson病の評価。本症例は脳出血。
- ❌ 4:modified Tardieu scaleは痙縮の評価。転倒リスク評価ではない。
- ❌ 5:PCI(Physiological Cost Index)は歩行の生理的コスト指標。転倒リスクの直接評価ではない。
午前 問24(一般・正答 1)
ポイント:2013年に障害者自立支援法が障害者総合支援法に改正された際、新たに難病患者が支援対象に追加された。
- ✅ 1:難病(治療方法が確立されていない疾病その他の特殊の疾病)が新たに対象として追加。
- ❌ 2:身体障害は元から支援対象。
- ❌ 3:精神障害は元から支援対象。
- ❌ 4:知的障害は元から支援対象。
- ❌ 5:高次脳機能障害は精神障害の範疇で元から対象。
午前 問30(一般・正答 2,5)
ポイント:FMAの満点は226点(運動機能100点+バランス14点+感覚24点+関節可動域/疼痛88点)。Brunnstrom法ステージの考え方を基盤とし共通する評価項目がある。
- ❌ 1:評価は3段階(0/1/2点)で行う。4段階ではない。
- ✅ 2:満点は226点。運動・感覚・バランス・関節可動域/疼痛の総合評価。
- ❌ 3:感覚は触覚と位置覚を評価する。痛覚ではない。
- ❌ 4:評価項目は5つ(運動機能・感覚・バランス・関節可動域・疼痛)。4つではない。
- ✅ 5:FMAはBrunnstromの回復段階の概念を基盤としており、共同運動パターンの評価など共通点がある。
この解説について
本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
出典:「第60回・第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。
関連ページ
国家試験リベンジ採用
国家試験に惜しくも届かなかった方へ。株式会社Network-Primer(高松市のデイサービス)では、**正社員として働きながら再挑戦できる「国家試験リベンジ枠」**を設けています。先輩メンター制度・受験サポートあり。→ 採用情報を見る
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-07-26
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
本コンテンツは、職員の受験支援用に作成し、実際に社内で使っている教材を公開しています。
落ちた年を、「空白の1年」にしない。
内定が取り消しになっても、同期が先に働き始めても——ここでは正社員として現場に立ちながら、翌年の合格を目指せます。
不合格の春に入社し、翌年合格した先輩がいます。先輩メンターと、この無料教材のすべてがあなたのものです。