整形外科|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ
理学療法士国家試験の整形外科分野を、複数年分まとめて対策できるページです。骨折・術後リハビリテーション、膝関節疾患(前十字靱帯・半月板・変形性膝関節症)、装具・義肢、脊椎・脊髄疾患、骨腫瘍・骨壊死など、出題範囲が広く実地問題との結びつきが強い分野です。収録済みの年度では第61回が10問、第60回が17問出題されており、年度をまたいで解くことで繰り返し問われるテーマが見えてきます。
問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
収録状況
| 年度 | 実施 | 整形外科 出題数 | 収録 |
|---|---|---|---|
| 第61回 | 2026年2月 | 10問 | ✅ 解説あり |
| 第60回 | 2025年2月 | 17問 | ✅ 解説あり |
| 第59回 | 2024年2月 | ― | 順次追加 |
| 第58回 | 2023年2月 | ― | 順次追加 |
| 第57回 | 2022年2月 | ― | 順次追加 |
第56〜59回は、厚生労働省の公表資料をもとに順次追加していきます。
頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)
- 膝関節疾患:前十字靱帯損傷、半月板損傷の誘発テスト(Apley・McMurray)、変形性膝関節症の特徴
- 骨折・術後リハビリテーション:大腿骨頸部骨折/人工骨頭置換術後、人工股関節置換術(後方進入)後の禁忌肢位と早期離床
- 装具・義肢:サイム義足、両側支柱付膝装具、側弯症装具(ボストンブレース・ミルウォーキーブレース)、短下肢装具
- 脊椎・脊髄:頸髄損傷(Zancolli分類)の目標動作、二分脊椎の機能残存レベル、思春期特発性側弯症
- 骨腫瘍・骨壊死・骨代謝:骨肉腫の好発年齢と部位、Kienböck病などの骨端症・骨壊死、原発性骨粗鬆症の脆弱性骨折
- 肩・上肢:肩関節周囲炎、腱板損傷術後の筋力増強運動、手の舟状骨骨折と偽関節
- 関節リウマチ:等尺性運動の適応と、活動期・環軸椎亜脱臼などの禁忌
第61回(2026年2月実施)
整形外科は10問出題(実地3問・一般4問・共通3問/推定配点16点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。
| # | 時間帯 | 区分 | テーマ | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問10 | 午前 | 実地 | 骨肉腫の好発年齢・部位とALP上昇 | 3 |
| 問30 | 午前 | 一般 | 半月板損傷の誘発テスト | 1,4 |
| 問46 | 午前 | 一般 | 関節リウマチの運動療法と禁忌 | 1 |
| 問74 | 午前 | 共通 | 膝関節の構造と運動 | 1 |
| 問89 | 午前 | 共通 | 骨端症・骨壊死の好発年齢 | 2 |
| 問7 | 午後 | 実地 | 人工股関節置換術(後方進入)後のリハ | 3 |
| 問10 | 午後 | 実地 | 思春期特発性側弯症の装具選択 | 4 |
| 問28 | 午後 | 一般 | 変形性膝関節症の特徴 | 5 |
| 問88 | 午後 | 共通 | アキレス腱断裂 | 3 |
| 問89 | 午後 | 共通 | 偽関節を生じやすい骨折部位 | 2 |
午前 問10(実地・正答 3)
ポイント:12歳、下腿近位部(脛骨近位)の腫脹・安静時痛、X線/MRI異常、ALP上昇。骨肉腫の好発年齢・部位・所見に合致する。ALP上昇は骨形成の亢進を反映する。
- ❌ 1:骨挫傷はALP上昇や進行性腫瘤を来さない。
- ❌ 2:骨髄炎なら炎症反応が上昇するが、本例は正常。
- ✅ 3:骨肉腫は10歳代・膝周囲(脛骨近位/大腿骨遠位)に好発し、ALP上昇を伴う。
- ❌ 4:軟骨肉腫は中高年に多い。
- ❌ 5:疲労骨折はALPの著明上昇や腫瘤を来さない。
午前 問30(一般・正答 1,4)
ポイント:半月板損傷の誘発テストはApleyテスト(圧迫回旋)とMcMurrayテスト(屈伸+回旋)。
- ✅ 1:Apley(compression)テストは半月板損傷の圧迫回旋テスト。
- ❌ 2:Elyテストは大腿直筋の短縮テスト。
- ❌ 3:Lachmanテストは前十字靱帯損傷のテスト。
- ✅ 4:McMurrayテストは半月板損傷の代表的誘発テスト。
- ❌ 5:Patrickテスト(FABER)は股関節・仙腸関節の検査。
午前 問46(一般・正答 1)
ポイント:関節リウマチでは関節に負担の少ない等尺性運動で筋力を維持するのが基本。関節を動かさずに筋収縮を行う。
- ✅ 1:等尺性運動は関節を動かさず筋力を維持でき、RAに適する。
- ❌ 2:関節強直(骨性癒合)した関節にROM運動を行っても可動域は改善しない。
- ❌ 3:ムチランス変形(高度破壊)に他動運動は危険で不適。
- ❌ 4:活動期(炎症期)の関節への温熱療法は炎症を助長し禁忌(冷却が適する)。
- ❌ 5:環軸椎亜脱臼がある場合、頸椎可動域運動は脊髄損傷リスクで禁忌。
午前 問74(共通・正答 1)
ポイント:内側半月板は内側側副靱帯(MCL)と結合しており、MCL損傷時に内側半月も損傷しやすい(unhappy triad)。
- ✅ 1:内側半月板は内側側副靱帯と結合している。
- ❌ 2:屈曲初期は転がり運動、屈曲が進むと滑り運動が増える。
- ❌ 3:大腿筋膜張筋は膝伸展位で膝伸展、屈曲位では屈曲を補助する(腸脛靱帯経由)。
- ❌ 4:内側側副靱帯は幅広く強靱で、外側側副靱帯より太い。
- ❌ 5:膝内旋に働くのは半腱様筋・半膜様筋等で、大腿二頭筋は外旋筋。
午前 問89(共通・正答 2)
ポイント:Kienböck病(月状骨軟化症)は成人男性(20〜40歳の手をよく使う労働者)に好発する。
- ❌ 1:Freiberg病(第2中足骨頭壊死)は若年女性に多い。
- ✅ 2:Kienböck病は成人男性に好発する月状骨壊死。
- ❌ 3:Osgood-Schlatter病は成長期のスポーツ少年(10代)に多い。
- ❌ 4:Perthes病(大腿骨頭壊死)は小児(4〜8歳男児)に多い。
- ❌ 5:Sever病(踵骨骨端症)は成長期の小児に多い。
午後 問7(実地・正答 3)
ポイント:人工股関節置換術(後方進入)後は早期離床・早期運動療法が原則。術後翌日から筋力増強運動(等尺性運動等)を開始し、脱臼肢位(後方進入では屈曲・内転・内旋)を避ける。
- ❌ 1:現在は早期荷重が主流で、術後3週免荷は過度に保守的。
- ❌ 2:術後早期離床が原則で、3日間のベッド上安静は廃用を招き不適。
- ✅ 3:術後翌日から筋力増強運動(大腿四頭筋セッティング等)を開始するのが標準。
- ❌ 4:後方進入では屈曲・内転・内旋が脱臼肢位。立ち上がりを内旋位で行うのは禁忌。
- ❌ 5:屈曲45度以下の厳格制限は過度。通常90度程度までは許容し、屈曲+内転+内旋の複合を避ける。
午後 問10(実地・正答 4)
ポイント:思春期特発性側弯症でCobb角35度、装具適応。胸椎カーブにはアンダーアーム型のボストンブレース(TLSO)が第一選択で、頂椎がT7以下ならボストンブレースが適応となる。
- ❌ 1:Jewett装具は胸腰椎の屈曲制限用(圧迫骨折等)で側弯症用ではない。
- ❌ 2:SOMIブレースは頸椎固定装具。
- ❌ 3:軟性TLSOは側弯の矯正力が不十分。
- ✅ 4:ボストンブレース(アンダーアーム型TLSO)は胸腰椎カーブの側弯症に用いる標準装具。
- ❌ 5:ミルウォーキーブレースは頸部まで及ぶCTLSOで、高位胸椎カーブ(T6以上)に用いる。
午後 問28(一般・正答 5)
ポイント:変形性膝関節症では疼痛による活動低下から大腿四頭筋の廃用性萎縮を認める。
- ❌ 1:変形性膝関節症は一次性(加齢・肥満等)が多い。
- ❌ 2:女性に好発する。
- ❌ 3:内反変形(O脚)を生じやすい。
- ❌ 4:好発年齢は中高年(50歳以降)で、20歳代ではない。
- ✅ 5:疼痛と活動低下により大腿四頭筋の萎縮を認める。
午後 問88(共通・正答 3)
ポイント:アキレス腱断裂ではThompsonテスト(腓腹筋を握っても足が底屈しない)が陽性となる。
- ❌ 1:断裂するとつま先立ち(片脚)は困難になる。
- ❌ 2:中年のスポーツ愛好者に多い(学童期ではない)。
- ✅ 3:Thompsonテスト陽性(下腿三頭筋把持で底屈が起こらない)。
- ❌ 4:足関節底屈位(尖足位)でギプス固定する(背屈位は断端を離開させ禁忌)。
- ❌ 5:陳旧例は腱の短縮・退縮のため端々縫合が困難で、腱移植・補強術が必要。
午後 問89(共通・正答 2)
ポイント:手の舟状骨骨折は血行が遠位から近位への逆行性で乏しく、近位骨片が阻血性壊死・偽関節を生じやすい。
- ❌ 1:鎖骨遠位部は偽関節を生じることもあるが、舟状骨ほど高頻度ではない。
- ✅ 2:手の舟状骨は血行の特性から偽関節・阻血性壊死を生じやすい。
- ❌ 3:橈骨遠位端は血行が豊富で癒合しやすい。
- ❌ 4:中手骨骨幹部は癒合しやすい。
- ❌ 5:上腕骨骨幹部は偽関節もあるが、舟状骨ほどではない。
第60回(2025年2月実施)
整形外科は17問出題(実地9問・配点27点/一般8問・配点8点、うち図表問題4問/配点合計35点)。各問の詳しい解説は 第60回 整形外科 詳細ページ にまとめています。
| # | 時間帯 | 区分 | テーマ | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問8 | 午前 | 実地 | 足関節離断に適応となる義足 | 4 |
| 問13 | 午前 | 実地 | 大腿四頭筋広範囲切除後の補装具選択 | 3 |
| 問15 | 午前 | 実地 📷 | 頸髄損傷(Zancolli C6B1)の目標動作 | 1 |
| 問17 | 午前 | 実地 📷 | 歩行時床反力と大腿直筋の活動時期 | 1,5 |
| 問20 | 午前 | 実地 | 人工骨頭置換術後のFIM運動項目 | 採点除外 |
| 問25 | 午前 | 一般 | GMFCSレベルと動作能力 | 2 |
| 問41 | 午前 | 一般 | 前十字靱帯損傷 | 2,5 |
| 問50 | 午前 | 一般 | 三次予防にあたるもの | 4 |
| 問90 | 午前 | 一般 | 肩関節周囲炎 | 4 |
| 問93 | 午前 | 一般 | 高齢者の低栄養と関連の少ない病態 | 4 |
| 問3 | 午後 | 実地 | この時期の理学療法 | 3,5 |
| 問7 | 午後 | 実地 📷 | 腱板修復術後の等張性筋力増強運動 | 2 |
| 問13 | 午後 | 実地 📷 | 側弯症(Cobb角30度)の体幹装具 | 3 |
| 問18 | 午後 | 実地 | 足関節背屈筋力低下(MMT 0)への対応 | 5 |
| 問25 | 午後 | 一般 | 二分脊椎の機能残存レベル | 3 |
| 問31 | 午後 | 一般 | Down症候群に特徴的な二次障害 | 1,2,4 |
| 問33 | 午後 | 一般 | 原発性骨粗鬆症の脆弱性骨折部位 | 1 |
午前 問8(実地・正答 4)
ポイント:足関節離断(Syme切断に相当)ではサイム義足が適応となる。断端末での荷重が可能で、義足の構造もこのレベルに特化している。
- ❌ 1:PTB式下腿義足は下腿切断(膝下)に適応で、足関節離断には不適切。
- ❌ 2:TSB式も下腿切断用(全面接触ソケットの下腿義足)。
- ❌ 3:吸着式下腿義足も下腿切断用。
- ✅ 4:サイム義足は足関節離断に対する標準的な義足。断端末荷重が可能で歩行効率が高い。
- ❌ 5:足根中足義足はChopart離断やLisfranc離断に適応で、足関節離断より遠位の切断レベル。
午前 問13(実地・正答 3)
ポイント:大腿四頭筋の広範囲切除後で膝伸展MMT 3、伸展-10°の拘縮あり。膝の不安定性を補うため両側金属支柱付膝装具が最適。
- ❌ 1:車椅子は歩行を断念することになり、17歳の社会参加を考慮すると優先度は低い。
- ❌ 2:PTB式免荷装具は下腿の免荷用で、大腿の問題には不適切。
- ✅ 3:膝伸展筋力MMT 3と伸展制限があり、両側支柱付膝装具で膝折れを防止して歩行可能とする。
- ❌ 4:短下肢装具は足関節の問題に使用し、膝の問題には対応できない。
- ❌ 5:長下肢装具は膝から足関節までカバーするが、本症例は膝のみの問題で過剰な装具となる。
午前 問15(実地・正答 1)
ポイント:Zancolli C6B1は手関節背屈が部分的に可能なレベル。起き上がり動作と自力での車椅子駆動が目標となる。
- ✅ 1:C6B1レベルでは肘屈曲・手関節背屈(部分的)が可能。テノデーシスを利用した動作、起き上がり、ベッド上動作が目標で、車椅子駆動も可能。
- ❌ 2:C6B1で屋内車椅子駆動は可能だが、これだけでは目標が低く、起き上がり動作も含めるべき。
- ❌ 3:電動車椅子はC4〜C5レベルの目標。C6B1では手動車椅子が可能。
- ❌ 4:側方アプローチ移乗はC7以上で目標。C6B1では前方アプローチが適切。
- ❌ 5:床から車椅子への移乗はC7以上の機能が必要で、C6B1では困難。
午前 問17(実地・正答 1,5)
ポイント:床反力垂直分力の第1ピーク(荷重応答期)で大腿直筋が最も活動する。膝折れ防止のためである。
- ✅ 1:荷重応答期(第1ピーク付近)で大腿直筋は膝伸展モーメントを発生させ、膝折れを防ぐ。
- ❌ 2:右脚の谷(立脚中期)では大腿直筋の活動は低下する。
- ❌ 3:左脚の第1ピークであり、問われているのは右脚。
- ❌ 4:立脚後半にあたり、大腿直筋が「最も活動する期」には該当しない。
- ✅ 5:遊脚期にかけての相であり、床反力の消失に伴い活動様式が変化する時期として正答に含まれる。
第60回 午前 問20(人工骨頭置換術後のFIM運動項目)は採点除外となった問題のため、選択肢別の解説は掲載していません。
この解説について
本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
出典:「第60回・第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。
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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-07-26
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
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