脊髄損傷|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の脊髄損傷分野を、複数年分まとめて対策できるページです。ASIA機能障害尺度(AIS)による重症度判定、Zancolli分類と目標動作、自律神経過反射、褥瘡などの合併症管理といった論点が、年度をまたいで繰り返し問われます。本サイトでは現在、第61回で3問・第60回で5問を収録しています。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施脊髄損傷 出題数収録
第61回2026年2月3問✅ 解説あり
第60回2025年2月5問(関連問題を含む)✅ 解説あり
第59回2024年2月順次追加
第58回2023年2月順次追加
第57回2022年2月順次追加

第56〜59回は、厚生労働省の公表資料をもとに順次追加していきます。

頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)

  • ASIA機能障害尺度(AIS):仙髄機能(肛門の随意収縮・深部圧覚・肛門周囲感覚)の残存でA〜Eを判定する(第61回 午後問13/第60回 午後問19)
  • Zancolli分類と目標動作:残存レベルに応じた起き上がり・車椅子駆動・移乗方法の設定(第60回 午前問15)
  • 自律神経過反射:T6以上の損傷で生じる頭痛・顔面紅潮・発汗・高血圧と、膀胱充満・便秘という誘因への対応(第61回 午前問13)
  • 疫学:高齢者の転倒による頸髄損傷の増加(第61回 午前問90)
  • 合併症・全身管理:褥瘡、低栄養との関連(第60回 午前問93・午後問26)

第61回(2026年2月実施)

脊髄損傷として出題された問題です。実地2問(6点)・共通1問(1点)、推定配点7点。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

#時間帯区分テーマ正答
問13午前実地自律神経過反射への対応4
問90午前共通外傷性脊髄損傷の疫学3
問13午後実地ASIA機能障害尺度の判定1

午前 問13(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:T6以上の脊髄損傷で頭痛・顔面紅潮・発汗・著明な高血圧=自律神経過反射。誘因の多くは膀胱充満・便秘で、まず排尿・排便状況を確認する。

  • 1:自律神経過反射では徐脈を来すことが多い(頻脈ではない)。
  • 2:臥位ではなく座位(頭を高く)にして血圧を下げる。
  • 3:脳出血など重篤な合併症を生じうる緊急事態である。
  • 4:最多の誘因である膀胱充満・便秘を確認し、原因を除去する。
  • 5:一般にT6以上の損傷で生じ、腰髄損傷では起きにくい。

午前 問90(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:外傷性脊髄損傷は近年、高齢者の転倒による受傷(特に頸髄損傷)が増加している。

  • 1:男性に多い(女性ではない)。
  • 2:頸髄損傷が最も多い(腰髄ではない)。
  • 3:高齢者の転倒による受傷が増加している。
  • 4:労働災害による受傷は減少傾向(かわって高齢者の転倒が増加)。
  • 5:発生頻度は人口100万人当たり約40〜50人/年程度で、100人は過大。

午後 問13(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:肛門の随意収縮なし・肛門深部圧覚なし・肛門周囲感覚消失=仙髄領域(S4-5)の機能が完全に消失。運動・感覚とも最下位仙髄まで完全麻痺=AIS A(完全損傷)。

  • 1:肛門随意収縮・深部圧覚・仙髄感覚がすべて消失=完全損傷でAIS A。
  • 2:AIS Bは仙髄領域の感覚が残存する不全損傷。本例は感覚も消失している。
  • 3:AIS Cは損傷レベル以下の運動が半分以上MMT3未満で残存する不全損傷。
  • 4:AIS Dは損傷レベル以下の運動が半分以上MMT3以上で残存する。
  • 5:AIS Eは正常。

第60回(2025年2月実施)

脊髄損傷は5問出題(実地3問・9点/一般2問・2点、図表問題2問、配点合計11点)。各問の詳しい解説は 第60回 脊髄損傷 詳細ページ にまとめています。

#時間帯区分テーマ正答
問15午前実地Zancolli C6B1の目標動作1
問93午前一般低栄養と関連の少ない病態4
問6午後実地 📷原始反射(ATNR)の影響5
問19午後実地ASIA機能障害尺度の判定2
問26午後一般褥瘡の危険因子2

午前 問15(実地・正答 1)

ポイント:Zancolli C6B1は手関節背屈が部分的に可能なレベル。テノデーシスアクションを利用した起き上がり動作と、自力での車椅子駆動が目標となる。

  • 1:C6B1レベルでは肘屈曲・手関節背屈(部分的)が可能。テノデーシスを利用した動作、起き上がり、ベッド上動作、手動車椅子駆動が目標。
  • 2:C6B1で屋内車椅子駆動は可能だが、これだけでは目標として低すぎる(起き上がり動作も含めるべき)。
  • 3:電動車椅子はC4〜C5レベルの目標。C6B1では手動車椅子が可能。
  • 4:側方アプローチでの移乗はC7以上で目標となる。C6B1では前方アプローチが適切。
  • 5:床から車椅子への移乗はC7以上の機能が必要で、C6B1では困難。

午後 問6(実地・正答 5)

ポイント:背臥位で頭部回旋に伴い顔側が伸展、後頭側が屈曲する非対称パターンは、ATNR(非対称性緊張性頸反射)の影響。

  • 1:Moro反射は突然の刺激で上肢を外転・伸展する反射。
  • 2:陽性支持反射は足底刺激で下肢を伸展する反射。
  • 3:緊張性迷路反射は頭部の位置(前屈/後屈)で四肢の筋緊張が変化するもので、左右非対称のパターンではない。
  • 4:対称性緊張性頸反射は頭部前屈で上肢屈曲・下肢伸展(またはその逆)となる左右対称のパターン。
  • 5:ATNRは頭部回旋により顔側が伸展、後頭側が屈曲する非対称パターン。痙直型四肢麻痺で残存しやすい。

午後 問19(実地・正答 2)

ポイント:肛門の随意収縮と感覚が保たれているため、完全麻痺(AIS A)と、感覚のみ残存のAIS Bは除外される。損傷レベル以下に運動機能が一部残存する**AIS C(運動不全麻痺)**と判定する。本症例は上肢のkey muscleの多くがMMT3未満であり、MMT3以上の筋が半数以上となるAIS Dには該当しない。AIS Eは正常。

選択肢ごとの○×は、元データの整合性を確認のうえ順次追加します。

午前 問93(一般・正答 4)/午後 問26(一般・正答 2)— 合併症・全身管理の関連問題

脊髄損傷の学習と合わせて押さえておきたい、低栄養・褥瘡に関する問題です。

午前 問93(正答 4):変形性膝関節症は加齢・肥満・力学的負荷が主因で、低栄養との直接的な関連は他の選択肢より少ない。

  • 1:褥瘡は低栄養の代表的な合併症(創傷治癒の遅延)。
  • 2:貧血は低栄養(鉄・ビタミンB12・葉酸の不足)で生じる。
  • 3:サルコペニアは低栄養と密接に関連する(蛋白質不足→筋量減少)。
  • 4:変形性膝関節症は力学的ストレスが主因であり、低栄養との直接の関連は低い。
  • 5:大腿骨頸部骨折は、低栄養による骨粗鬆症がリスク因子となる。

午後 問26(正答 2):褥瘡の危険因子でないものを選ぶ問題。正答は選択肢2。

選択肢ごとの○×は、元データの整合性を確認のうえ順次追加します。


この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第60回・第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-07-26

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

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