呼吸器|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の呼吸器分野を、複数年分まとめて対策できるページです。COPD・間質性肺疾患・術後呼吸器合併症・肺気量分画・体位と換気血流比など、呼吸器領域は実地問題と一般問題の両方から幅広く問われます。収録している範囲では、第60回は17問、第61回は6問を呼吸器分野として整理しました。年度をまたいで解くことで、繰り返し問われるテーマが見えてきます。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施呼吸器 出題数収録
第61回2026年2月6問✅ 解説あり
第60回2025年2月17問✅ 解説あり
第59回2024年2月順次追加
第58回2023年2月順次追加
第57回2022年2月順次追加

第56〜59回は、厚生労働省の公表資料をもとに順次追加していきます。

頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)

  • COPD:息切れが強くなる動作(上肢挙上)、日常生活動作の指導、mMRCによる息切れ評価
  • 呼吸機能・肺気量分画:FEV1・FRC・TLC・PEF・IRVの変化、肺胞換気量の算出
  • 体位と換気血流比:腹臥位による酸素化改善(V/Q比の是正)、体位の使い分け
  • 気道クリアランス:ハフィング・口すぼめ呼吸・排痰手技の適応
  • 重症例・周術期の呼吸理学療法:人工呼吸管理中のROM運動、術後合併症(無気肺・肺炎)の予防、早期離床

第61回(2026年2月実施)

呼吸器として出題された問題です(実地3問・一般/共通3問/推定配点12点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

#時間帯区分テーマ正答
問8午前実地mMRCによる息切れの評価2
問23午前一般COPDで息切れが強い動作2
問44午前一般COPDの肺気量分画の変化2,3
問45午前一般腹臥位と換気血流比5
問8午後実地COPDの日常生活動作指導3
問9午後実地開腹術後の呼吸器合併症予防1

午前 問8(実地・正答 2)

ポイント:mMRC Grade1は「平地を急ぎ足で歩く、または緩やかな上り坂を歩くときに息切れがある」。本症例(緩やかな上り坂や早歩きで息切れ)はGrade1に該当する。

  • 1:Grade0は激しい運動時のみ息切れ。
  • 2:Grade1は平地の急ぎ足や緩やかな坂で息切れがある。本症例に合致。
  • 3:Grade2は同年代より平地歩行が遅い、息継ぎで立ち止まるレベルで、本症例より重い。
  • 4:Grade3は平地約100m〜数分で息切れ。
  • 5:Grade4は着替えでも息切れし外出困難。

午前 問23(一般・正答 2)

ポイント:COPDでは上肢挙上を伴う動作で呼吸補助筋が使えず息切れが強い。洗髪は上肢を挙上・保持するため最も息切れが生じやすい。

  • 1:食事は上肢挙上が少なく息切れは軽い。
  • 2:洗髪は両上肢を頭上に挙げ保持するため、呼吸補助筋が使えず息切れが最も強い。
  • 3:排尿は軽負荷。
  • 4:歯磨きは上肢挙上が軽度。
  • 5:ズボンの着脱は前かがみだが上肢挙上保持は少ない。

午前 問44(一般・正答 2,3)

ポイント:COPDでは気流閉塞・エアトラッピングにより機能的残気量(FRC)と全肺気量(TLC)が増加する。

  • 1:1秒量(FEV1)は気流閉塞により低下する。
  • 2:機能的残気量(FRC)はエアトラッピングで増加する。
  • 3:全肺気量(TLC)は肺の過膨張により増加する。
  • 4:ピークフロー(PEF)は低下する。
  • 5:予備吸気量(IRV)は肺の過膨張により減少する。

午前 問45(一般・正答 5)

ポイント:腹臥位では重力により肺の腹側へ血流分布が変化し、換気血流比が改善する。背臥位に比べ腹側(前胸部側)への血流分布が増える。

  • 1:腹臥位は上部胸式呼吸を特に促進しない。
  • 2:排痰は体位ドレナージの原理で、腹臥位が特に左舌区の排痰を促すわけではない。
  • 3:腹臥位で肺活量が座位より増加はしない。
  • 4:換気分布は重力依存で、肺尖部に特に多く分布はしない。
  • 5:腹臥位では背臥位に比べ肺の腹側への血流分布が増え、換気血流不均衡が改善する。

午後 問8(実地・正答 3)

ポイント:COPDの息切れ軽減には上肢挙上を避けることが重要。洗濯物を肩より低い位置に干すことで、上肢挙上に伴う呼吸補助筋の使用制限を避け、息切れを軽減する。

  • 1:布団は立ち座り動作で息切れを増す。ベッドが望ましい。
  • 2:階段は呼気時(口すぼめ呼吸の呼気)に昇段する。吸気時ではない。
  • 3:洗濯物を肩より低い位置に干すことで上肢挙上を避け、息切れを軽減できる。
  • 4:前かがみ姿勢は横隔膜を圧迫し息切れを増強する。
  • 5:低いシャワーチェアは立ち座りの負担が大きい。適切な高さの椅子が望ましく、「低い」が不適。

午後 問9(実地・正答 1)

ポイント:開腹術後で高リスク(低栄養BMI17、%1秒量低下、Brinkman1000)。呼吸器合併症(無気肺・肺炎)予防に、口すぼめ呼吸で気道虚脱を防ぎ換気を改善する指導が適切。

  • 1:口すぼめ呼吸は呼気時の気道虚脱を防ぎ、換気を改善し無気肺を予防する。
  • 2:頭側10度では不十分。無気肺予防には座位〜ファウラー位(30度以上)が望ましい。
  • 3:満腹時の運動は横隔膜を圧迫し誤嚥・不快を招くため不適。
  • 4:創痛を理由に咳嗽を控えると喀痰貯留で無気肺・肺炎を来す。創部を保護して排痰を促す。
  • 5:術後は早期離床が原則で、1週間ベッド上安静は廃用と合併症を招く。

第60回(2025年2月実施)

呼吸器は17問出題(実地6問・一般11問/配点合計29点)。各問の詳しい解説は 第60回 呼吸器 詳細ページ にまとめています。

#時間帯区分問題(要約)正答
問2午前実地80歳の男性。間質性肺疾患の急性増悪で入院中。酸素化が不良で気管切開による人工呼吸管理を受けている。...4
問3午前実地その後、人工呼吸器を離脱して気管切開孔を閉鎖したが、右肺に気胸を生じ、経鼻酸素療法中である。この時...採点除外
問14午前実地56歳の男性。肺癌の外来化学療法中。呼吸困難が増悪し緊急入院。両肺の癌性胸膜炎。SpO2 95%(r...4
問16午前実地70歳の男性。COVID-19による肺炎で入院。PaO2は背臥位では60mmHg、腹臥位では100m...2
問33午前一般フレイルの判定要件はどれか。2つ選べ。4,5
問35午前一般酸素療法機器で正しいのはどれか。5
問36午前一般口すぼめ呼吸の指導で正しいのはどれか。3
問39午前一般血液検査項目と疾患の組合せで正しいのはどれか。2
問55午前一般食道で正しいのはどれか。4
問64午前一般呼吸の調節機構で正しいのはどれか。5
問70午前一般肺気量分画のうちの2つを用いて肺胞換気量を算出する場合、使用するのはどれか。2つ選べ。2,3
問75午前一般疾病発症の外因のうち、物理的要因はどれか。3
問85午前一般加齢で低下するのはどれか。1
問14午後実地75歳の男性。間質性肺疾患で入院中。安静時も頻呼吸で、頸部の呼吸補助筋活動が亢進。最も適切な理学療法...4
問16午後実地75歳の男性。糖尿病性腎症のため維持血液透析中。運動耐容能を評価する検査はどれか。5
問61午後一般心筋で正しいのはどれか。3
問95午後一般周術期の肺塞栓症で誤っているのはどれか。4

午前 問2(実地・正答 4)

ポイント:人工呼吸管理中で血圧変動が大きい重症患者では、積極的な運動は禁忌。関節可動域運動(ROM運動)は最も低侵襲で、拘縮予防を目的に安全に実施可能。

  • 1:咳嗽練習は気管切開中で自発呼吸が不十分なため不適切。人工呼吸器管理下では咳嗽の効果が得られにくい。
  • 2:歩行練習は人工呼吸管理中の患者には過負荷。血行動態が不安定(血圧変動大)なため禁忌。
  • 3:移乗動作練習も歩行と同様に過負荷。人工呼吸器装着中は安全に実施困難。
  • 4:関節可動域運動は他動的に実施可能で、心肺への負荷が最小限。ICUでの早期リハの基本として推奨。
  • 5:等尺性筋力増強運動はバルサルバ効果により血圧変動を助長するリスクがあり、血圧不安定な本症例では不適切。

午前 問3(実地・採点除外)

ポイント:不適切問題として採点除外。気胸の存在下での理学療法の原則を問う問題。

  • 1:気胸があっても酸素療法下で段階的な離床は可能な場合がある。一律に床上安静は過度な制限。
  • 2:気胸側の胸郭拡張は気胸を悪化させるため禁忌。呼吸理学療法は健側を中心に行う。
  • 3:修正Borgスケール9以上は「非常にきつい」であり、気胸患者には過負荷で危険。
  • 4:呼吸筋力低下があれば吸気筋トレーニングは検討されるが、気胸急性期は慎重に。
  • 5:f/TV≧150は人工呼吸器離脱困難の指標(RSBI)。この値以上では運動は推奨されない。

午前 問14(実地・正答 4)

ポイント:癌性胸膜炎で痰が多い患者。安静時呼吸困難があるため有酸素運動は困難。ハフィングは気道クリアランスの有効な手技。

  • 1:背臥位は胸水により呼吸困難を増悪させる。起座位やファウラー位が推奨。
  • 2:安静時でも呼吸困難があり、有酸素運動は過負荷。
  • 3:痰の喀出困難に対する呼吸理学療法は必要。中止は不適切。
  • 4:ハフィングは声門を開いた状態での強制呼出。努力性咳嗽より負荷が少なく、効率的に痰を喀出できる。
  • 5:口すぼめ呼吸はCOPD等の閉塞性疾患に有効。痰の喀出促進が主目的の本症例では優先度が低い。

午前 問16(実地・正答 2)

ポイント:腹臥位でPaO2が改善した主因は換気血流比(V/Q比)の改善。背臥位では背側肺(重力依存部位)に血流が集中し、同部位の無気肺により換気が不十分となりV/Qミスマッチを生じる。腹臥位で背側肺が上になり換気が改善する。

  • 1:肺拡散能は体位変換では大きく変わらない。
  • 2:腹臥位にすることで背側(重力依存部位)の肺が上になり換気が改善し、V/Q比が是正される。ARDS/重症肺炎の腹臥位療法の原理。
  • 3:解剖学的死腔は体位変換では変化しない。
  • 4:肺動静脈奇形は構造的問題で体位変換では改善しない。
  • 5:吸入気酸素濃度は同じマスク同じ流量なら体位では変わらない。

午前 問33(一般・正答 4,5)

ポイント:Friedのフレイル判定基準は①体重減少②疲労感③筋力低下④歩行速度の低下⑤身体活動量の減少の5項目。

  • 1:骨密度の減少はフレイルの判定要件に含まれない。骨粗鬆症の指標。
  • 2:柔軟性の低下はフレイルの判定要件に含まれない。
  • 3:肺活量の低下はフレイルの判定要件に含まれない。
  • 4:歩行速度の低下はフレイルの5項目の1つ。
  • 5:身体活動量の減少はフレイルの5項目の1つ。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第60回・第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-07-26

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

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