整形外科|第61回 理学療法士国家試験(10問)
第61回理学療法士国家試験の整形外科分野(全10問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 10問 |
| 実地問題 | 3問(9点) |
| 一般・共通問題 | 7問(7点) |
| 推定配点 | 16点 |
正答一覧
| # | 時間帯 | 区分 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 問10 | 午前 | 実地 | 3 |
| 問30 | 午前 | 一般 | 1,4 |
| 問46 | 午前 | 一般 | 1 |
| 問74 | 午前 | 共通 | 1 |
| 問89 | 午前 | 共通 | 2 |
| 問7 | 午後 | 実地 | 3 |
| 問10 | 午後 | 実地 | 4 |
| 問28 | 午後 | 一般 | 5 |
| 問88 | 午後 | 共通 | 3 |
| 問89 | 午後 | 共通 | 2 |
解説
午前 問10(実地・正答 3)
12歳、下腿近位部(脛骨近位)の腫脹・安静時痛、X線/MRI異常、ALP上昇。骨肉腫の好発年齢・部位・所見に合致。ALP上昇は骨形成の亢進を反映。
- ❌ 骨挫傷はALP上昇や進行性腫瘤を来さない。
- ❌ 骨髄炎なら炎症反応が上昇するが本例は正常。
- ⭕ 骨肉腫は10歳代・膝周囲(脛骨近位/大腿骨遠位)に好発し、ALP上昇を伴う。
- ❌ 軟骨肉腫は中高年に多い。
- ❌ 疲労骨折はALP著明上昇や腫瘤を来さない。
午前 問30(一般・正答 1,4)
半月板損傷の誘発テストはApleyテスト(圧迫回旋)とMcMurrayテスト(屈伸+回旋)。
- ⭕ Apley(compression)テストは半月板損傷の圧迫回旋テスト。
- ❌ Elyテストは大腿直筋の短縮テスト。
- ❌ Lachmanテストは前十字靱帯損傷のテスト。
- ⭕ McMurrayテストは半月板損傷の代表的誘発テスト。
- ❌ Patrickテスト(FABER)は股関節・仙腸関節の検査。
午前 問46(一般・正答 1)
関節リウマチでは関節に負担の少ない等尺性運動で筋力を維持するのが基本。関節を動かさず筋収縮を行う。
- ⭕ 等尺性運動は関節を動かさず筋力を維持でき、RAに適する。
- ❌ 関節強直(骨性癒合)した関節にROM運動を行っても可動域は改善せず無意味。
- ❌ ムチランス変形(高度破壊)に他動運動は危険で不適。
- ❌ 活動期(炎症期)の関節に温熱療法は炎症を助長し禁忌(冷却が適する)。
- ❌ 環軸椎亜脱臼がある場合、頸椎可動域運動は脊髄損傷リスクで禁忌。
午前 問74(共通・正答 1)
内側半月板は内側側副靱帯(MCL)と結合しており、MCL損傷時に内側半月も損傷しやすい(unhappy triad)。
- ⭕ 内側半月板は内側側副靱帯と結合している。
- ❌ 屈曲初期は転がり運動、屈曲が進むと滑り運動が増える(転がりが増えるは誤り)。
- ❌ 大腿筋膜張筋は膝伸展位で膝伸展、屈曲位では屈曲を補助(腸脛靱帯経由)。「膝屈曲位で膝伸展」は不正確。
- ❌ 内側側副靱帯は幅広く強靱で、外側側副靱帯より太い(細いは誤り)。
- ❌ 膝内旋に働くのは半腱様筋・半膜様筋等(大腿二頭筋は外旋筋)。
午前 問89(共通・正答 2)
Kienböck病(月状骨軟化症)は成人男性(20-40歳の手をよく使う労働者)に好発する。
- ❌ Freiberg病(第2中足骨頭壊死)は若年女性に多い。
- ⭕ Kienböck病は成人男性に好発する月状骨壊死。
- ❌ Osgood-Schlatter病は成長期のスポーツ少年(10代)に多い。
- ❌ Perthes病(大腿骨頭壊死)は小児(4-8歳男児)に多い。
- ❌ Sever病(踵骨骨端症)は成長期の小児に多い。
午後 問7(実地・正答 3)
人工股関節置換術(後方進入)後は早期離床・早期運動療法が原則。術後翌日から筋力増強運動(等尺性運動等)を開始する。脱臼肢位(後方進入では屈曲・内転・内旋)を避ける。
- ❌ 現在は早期荷重が主流で、術後3週免荷は過度に保守的。
- ❌ 術後早期離床が原則で、3日間のベッド上安静は廃用を招き不適。
- ⭕ 術後翌日から筋力増強運動(大腿四頭筋セッティング等)を開始するのが標準。
- ❌ 後方進入では屈曲・内転・内旋が脱臼肢位。立ち上がりを内旋位で行うのは禁忌。
- ❌ 屈曲45度以下の厳格制限は過度。通常90度程度までは許容し、屈曲+内転+内旋の複合を避ける。
午後 問10(実地・正答 4)
思春期特発性側弯症でCobb角35度、装具適応。胸椎カーブにはアンダーアーム型のボストンブレース(TLSO)が第一選択。頂椎がT7以下ならボストンブレースが適応。
- ❌ Jewett装具は胸腰椎の屈曲制限用(圧迫骨折等)で側弯症用ではない。
- ❌ SOMIブレースは頸椎固定装具。
- ❌ 軟性TLSOは側弯の矯正力が不十分。
- ⭕ ボストンブレース(アンダーアーム型TLSO)は胸腰椎カーブの側弯症に用いる標準装具。
- ❌ ミルウォーキーブレースは頸部まで及ぶCTLSOで、高位胸椎カーブ(T6以上)に用いる。本例(胸椎T7以下想定)ではボストンが適切。
午後 問28(一般・正答 5)
変形性膝関節症では大腿四頭筋の廃用性萎縮を認める。疼痛による活動低下で筋萎縮が進む。
- ❌ 変形性膝関節症は一次性(加齢・肥満等)が多い(二次性ではない)。
- ❌ 女性に好発する(男性ではない)。
- ❌ 内反変形(O脚)を生じやすい(外反ではない)。
- ❌ 好発年齢は中高年(50歳以降)で20歳代ではない。
- ⭕ 疼痛と活動低下により大腿四頭筋の萎縮を認める。
午後 問88(共通・正答 3)
アキレス腱断裂ではThompsonテスト(腓腹筋を握っても足が底屈しない)が陽性となる。
- ❌ 断裂するとつま先立ち(片脚)は困難になる。
- ❌ 中年のスポーツ愛好者に多い(学童期ではない)。
- ⭕ Thompsonテスト陽性(下腿三頭筋把持で底屈が起こらない)。
- ❌ 足関節底屈位(尖足位)でギプス固定する(背屈位は断端を離開させ禁忌)。
- ❌ 陳旧例は腱の短縮・退縮のため端々縫合が困難で、腱移植・補強術が必要。
午後 問89(共通・正答 2)
手の舟状骨骨折は血行が遠位から近位への逆行性で乏しく、近位骨片が阻血性壊死・偽関節を生じやすい。
- ❌ 鎖骨遠位部は偽関節を生じることもあるが舟状骨ほど高頻度ではない。
- ⭕ 手の舟状骨は血行の特性から偽関節・阻血性壊死を生じやすい。
- ❌ 橈骨遠位端は血行が豊富で癒合しやすい。
- ❌ 中手骨骨幹部は癒合しやすい。
- ❌ 上腕骨骨幹部は偽関節もあるが舟状骨ほどではない。
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。