脳血管障害|第61回 理学療法士国家試験(10問)
第61回理学療法士国家試験の脳血管障害分野(全10問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 10問 |
| 実地問題 | 6問(18点) |
| 一般・共通問題 | 4問(4点) |
| 推定配点 | 22点 |
正答一覧
| # | 時間帯 | 区分 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 問4 | 午前 | 実地 | 1 |
| 問5 | 午前 | 実地 | 5 |
| 問33 | 午前 | 一般 | 5 |
| 問37 | 午前 | 一般 | 2 |
| 問3 | 午後 | 実地 | 3 |
| 問11 | 午後 | 実地 | 1 |
| 問15 | 午後 | 実地 | 1 |
| 問20 | 午後 | 実地 | 5 |
| 問33 | 午後 | 一般 | 4 |
| 問37 | 午後 | 一般 | 5 |
解説
午前 問4(実地・正答 1)
右上下肢で押して正中位への修正に抵抗する=Pusher現象(プッシャー症候群)。これを評価するのはSCP(Scale for Contraversive Pushing)。
- ⭕ SCPはPusher現象(対側への押しつけ)を定量評価する尺度。本症例の病態に最適。
- ❌ SLTAは標準失語症検査。失語の記載はない。
- ❌ TMTは注意・遂行機能検査。
- ❌ WAIS-Ⅳは知能検査。
- ❌ WCSTは前頭葉機能(概念転換)検査。
午前 問5(実地・正答 5)
Pusher現象では非麻痺側へ重心移動できないことが移乗自立を妨げる。リーチ動作を用いて非麻痺側へ能動的に重心移動する練習が最も適切。
- ❌ 閉眼では視覚による垂直定位の手がかりが失われ、Pusherが悪化する。
- ❌ 右上下肢の関節可動域運動はPusher改善に直接寄与しない。
- ❌ 右大腿四頭筋の筋力増強は押しつけをむしろ強める可能性。
- ❌ 手すりを持つと押しつけの支点を与え、Pusherを助長しうる。
- ⭕ 非麻痺側へのリーチ動作で能動的に重心移動を促し、垂直定位を再学習させる。
午前 問33(一般・正答 5)
SIAS(脳卒中機能評価法)には非麻痺側大腿四頭筋の筋力(非麻痺側の握力・筋力)評価項目が含まれる。
- ❌ 注視はSIASの項目ではない。
- ❌ 痛覚は含まれない(触覚・位置覚を評価)。
- ❌ 病的反射は項目でない。
- ❌ 膝関節可動域そのものは評価項目でない。
- ⭕ SIASは非麻痺側機能(健側大腿四頭筋筋力・握力)を評価項目に含む。
午前 問37(一般・正答 2)
注意障害を評価するのはCAT(標準注意検査法:Clinical Assessment for Attention)。
- ❌ BITは半側空間無視の検査。
- ⭕ CATは注意機能(持続・選択・分配・転換)を評価する標準検査。
- ❌ RBMTは日常記憶の検査。
- ❌ SLTAは失語症の検査。
- ❌ VPTAは視覚失認の検査。
午後 問3(実地・正答 3)
重度片麻痺(上肢BRS Ⅱ)で肩関節亜脱臼と重度感覚障害を伴う。麻痺側上肢を保護し、亜脱臼を悪化させないADL動作を指導する。選択肢3の図が、麻痺側上肢を保護した正しい動作方法を示している。
- ❌ 麻痺側上肢に牽引や過度の負荷がかかり、亜脱臼を悪化させる動作。
- ❌ 麻痺側上肢を下垂・牽引させ、肩関節に負担をかける動作。
- ⭕ 麻痺側上肢を保護し、亜脱臼を悪化させない適切な動作方法。
- ❌ 重度感覚障害のある麻痺側で支持・荷重し、外傷のリスクがある動作。
- ❌ 肩関節に負担をかけ、亜脱臼を助長する動作。
午後 問11(実地・正答 1)
急性期脳卒中で単純CTで異常なし=超急性期の脳梗塞が疑われる。拡散強調画像(DWI)を含むMRIが超急性期脳梗塞の検出に最も有用。
- ⭕ MRI(拡散強調画像DWI)は発症数時間の超急性期脳梗塞を高感度で検出できる。
- ❌ PETは代謝評価で急性期診断には用いない。
- ❌ SPECTは脳血流評価だが超急性期梗塞の第一選択ではない。
- ❌ 造影CTは血管病変評価だが、梗塞巣そのものの早期検出はMRIに劣る。
- ❌ X線検査は脳実質の評価に無効。
午後 問15(実地・正答 1)
脳卒中後の下肢痙縮で内反尖足を呈する場合、ボツリヌス療法の主な投与筋は後脛骨筋(内反)・下腿三頭筋(尖足)。図が内反を示すなら後脛骨筋が適切。
- ⭕ 後脛骨筋は足の内反に働き、内反尖足の痙縮に対するボツリヌス投与筋として適切。
- ❌ 前脛骨筋は背屈筋で、痙縮による尖足では過活動筋ではない。
- ❌ 短腓骨筋は外반筋で内反尖足の原因筋ではない。
- ❌ 長腓骨筋も外反筋。
- ❌ 長母指伸筋は母趾背屈筋で内反尖足の主因ではない。
午後 問20(実地・正答 5)
言語理解良好・発語流暢・錯語・復唱不良・自己修正の努力(接近行為)=伝導失語。復唱が特に障害されるのが特徴。
- ❌ Broca失語は非流暢で努力性発話。本例は流暢。
- ❌ Wernicke失語は理解障害が重度。本例は理解良好。
- ❌ 健忘性失語は喚語困難が主で復唱は保たれる。
- ❌ 全失語は理解・表出とも重度障害。
- ⭕ 伝導失語は理解良好・流暢だが復唱が著明に障害され、音韻性錯語と自己修正(接近行為)を認める。
午後 問33(一般・正答 4)
SIASの股屈曲テスト(下肢近位運動)は座位で行い、座位保持が困難な場合は介助してもよい。
- ❌ SIASの上肢触覚は手掌で評価する(手背ではない)。
- ❌ 上肢関節可動域項目はSIASに含まれない。
- ❌ 手指テストで集団伸展が可能なら1B、完全伸展で2。「集団伸展で1C」は誤り。
- ⭕ 股屈曲テストでは座位保持が困難な場合、介助して構わない。
- ❌ 膝・口テストは麻痺側手部を対側(健側)でなく健側大腿から挙上等、記述が不正確。
午後 問37(一般・正答 5)
NIHSS(脳卒中重症度スケール)には意識・見当識・注視・視野・顔面麻痺・運動・失調・感覚・言語・構音・消去/無視など高次脳機能評価(言語・無視等)が含まれる。
- ❌ Barthel IndexはADL評価で高次脳機能は含まない。
- ❌ FMA(Fugl-Meyer)は運動機能中心。
- ❌ MAS(Modified Ashworth Scale)は痙縮の評価。
- ❌ Motricity Indexは筋力(運動)の評価。
- ⭕ NIHSSは言語・無視・意識など高次脳機能評価を含む。
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。