脳血管障害|第61回 作業療法士国家試験(10問)
第61回作業療法士国家試験の脳血管障害分野(全10問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 OT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 10問 |
| 実地問題 | 8問(24点) |
| 一般・共通問題 | 2問(2点) |
| 推定配点 | 26点 |
正答一覧
| # | 時間帯 | 区分 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 午前 | 実地 | 1 |
| 問5 | 午前 | 実地 | 5 |
| 問6 | 午前 | 実地 | 2 |
| 問13 | 午前 | 実地 | 2 |
| 問2 | 午後 | 実地 | 3 |
| 問3 | 午後 | 実地 | 5 |
| 問4 | 午後 | 実地 | 3 |
| 問8 | 午後 | 実地 | 3 |
| 問21 | 午後 | 一般 | 3 |
| 問32 | 午後 | 一般 | 5 |
解説
午前 問2(実地・正答 1)
突然発症の頭痛でCT異常(くも膜下出血等)。左半球(右利きで優位半球)病変では失算(Gerstmann症候群の一徴)等の症状がみられる。
- ⭕ 左頭頂葉(角回)病変で失算が生じる(Gerstmann症候群)。
- ❌ 運動失語は左前頭葉(Broca野)病変だが、本症例のCT所見に対応する主症状は失算。
- ❌ 着衣失行は右頭頂葉病変。
- ❌ 身体部位失認は頭頂葉病変だが優位半球の失算が該当。
- ❌ 左半側視空間失認は右頭頂葉病変で生じる(左病変では非典型)。
午前 問5(実地・正答 5)
上肢:肘伸展位で頭上まで屈曲・外転100度可能=分離運動が進んだステージⅤ。手指:対向つまみ+集団伸展可能=ステージⅤ。よって上肢Ⅴ手指Ⅴ。
- ❌ ステージⅢは共同運動出現段階で、頭上挙上は不可。
- ❌ 手指Ⅳは横つまみ程度。集団伸展可能はⅤ。
- ❌ 上肢Ⅳは分離運動が一部出現する程度で頭上挙上は困難。
- ❌ 手指の集団伸展可能はⅤであり、手指Ⅳは不適。
- ⭕ 肘伸展位での頭上挙上(分離運動)=上肢Ⅴ、対向つまみ+集団伸展=手指Ⅴ。
午前 問6(実地・正答 2)
BRSがほぼ良好(上肢Ⅵ・下肢Ⅵ)で認知・言語・移動に問題なく、経理事務(PC作業)に復帰予定。復職支援としてまず通勤手段の確認など実際的な環境調整を行う。
- ❌ 機能が良好で配置転換を求める必要はない。
- ⭕ 通勤手段の確認は復職に向けた実際的・環境的支援として適切。
- ❌ ADLは自立しており集中的ADL訓練は不要。
- ❌ 診断書だけで復職できると断定するのは不適切(職場との調整が必要)。
- ❌ 手指Ⅴで事務作業は可能。運動機能改善を待つ必要はない。
午前 問13(実地・正答 2)
右利きで右上肢が重度麻痺(BRS上肢Ⅲ・手指Ⅱ)。右手の実用的回復が困難なため、左手(非麻痺側)への利き手交換訓練を行い、更衣・食事等のADL自立を図るのが現実的で適切。
- ❌ 集団活動の導入は現段階の最優先ではない。
- ⭕ 右利きで右手が重度麻痺のため、左手への利き手交換訓練でADL自立を図る。
- ❌ 上肢機能回復のみを優先せず、実用的なADL獲得(利き手交換)を進める。
- ❌ 食事はFIM6(自立に近い)で積極訓練の優先度は低い。
- ❌ 園芸への関心は尊重すべきで、退院後課題と切り捨てるのは不適切。
午後 問2(実地・正答 3)
右頭頂葉病変で左半側空間無視が生じる。車椅子駆動時に無視側(左)によくぶつかるのが典型的な観察所見。
- ❌ 無視側は左なので皿の左側を残す(右側ではない)。
- ❌ 左半側空間無視では左側への注意が向かず、左からの起き上がりが困難。
- ⭕ 左半側空間無視により車椅子駆動時に左側の物にぶつかる。
- ❌ 左側からの誘導には反応が悪い(無視側のため)。
- ❌ 人が多いと無視側(左)でなく健側(右)に注意がそれる。
午後 問3(実地・正答 5)
半側空間無視に対しては、プリズム適応療法(プリズム眼鏡で視空間をずらし順応させる)が有効な訓練法として知られる。
- ❌ ペグ法は記憶障害への外的補助。
- ❌ 間隔伸長法は記憶障害の訓練法。
- ❌ 自己教示法は遂行機能・注意障害への言語的自己制御法。
- ❌ 問題解決訓練は遂行機能障害向け。
- ⭕ プリズム適応療法は半側空間無視の改善に有効。
午後 問4(実地・正答 3)
会話が急に変わる・段取りよく片付けられない=遂行機能障害。これを評価する初期検査はBADS(遂行機能障害症候群の行動評価)。
- ❌ BITは半側空間無視の検査。
- ❌ CASは小児の認知評価尺度。
- ⭕ BADSは遂行機能障害を評価する。本症例に適切。
- ❌ SLTAは失語症検査。
- ❌ HDS-Rは認知症スクリーニングで遂行機能の詳細評価には不十分。
午後 問8(実地・正答 3)
BRS良好(上肢Ⅴ・手指Ⅴ)・認知良好で、内装業からの転職を含む復職支援。職場環境での職業評価(実際の作業能力・環境適合の評価)を行うのが適切。
- ❌ 運動機能は良好で機能改善のみを目指す段階ではない。
- ❌ 就労後の定着支援も重要で、雇用されたら終了は不適。
- ⭕ 職場環境での職業評価を行い、適職・必要な配慮を検討する。
- ❌ 認知・運動とも良好で通勤に家族付き添いは不要。
- ❌ 課題がなくなるまで無期限に続けるのは非現実的。
午後 問21(一般・正答 3)
脳卒中急性期でも早期離床により廃用症候群(筋萎縮・関節拘縮・起立性低血圧等)を予防することが重要。
- ❌ 生活歴の情報収集は目標設定に必要で不要ではない。
- ❌ 点滴中でも状態が安定していれば作業療法は開始できる。
- ⭕ 早期離床で廃用症候群を予防する。
- ❌ ベッド上ADL訓練は急性期でも適応があり禁忌ではない。
- ❌ 弛緩性麻痺でも関節可動域訓練は拘縮予防に必要。
午後 問32(一般・正答 5)
観念運動失行では、口頭命令や模倣で「敬礼」等の意味ある動作を行えない(道具なしの単一動作の障害)。
- ❌ 遂行機能障害では計画立案が障害される(保たれるは誤り)。
- ❌ 半側空間無視は視野欠損とは異なる(視野は保たれうる)。
- ❌ 視覚失認では物品を視覚的に呼称できない(色の濃淡は本質でない)。
- ❌ 観念失行では道具の一連の操作(系列動作)が障害される(可能は誤り)。
- ⭕ 観念運動失行では検者の「敬礼」の模倣ができない。
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。