内部障害|第61回 理学療法士国家試験(14問)

第61回理学療法士国家試験の内部障害分野(全14問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

概要

項目数値
出題数14問
実地問題3問(9点)
一般・共通問題11問(11点)
推定配点20点

正答一覧

#時間帯区分正答
問9午前実地5
問18午前実地2
問25午前一般3
問36午前一般4
問88午前共通1
問92午前共通1
問94午前共通5
問14午後実地2
問35午後一般2
問42午後一般4
問43午後一般1
問44午後一般5
問86午後共通5
問92午後共通2

解説

午前 問9(実地・正答 5)

高用量昇圧剤で血圧を維持する不安定な循環動態。能動的運動は禁忌に近く、下肢への神経筋電気刺激(NMES)が最も安全に廃用予防できる。

  1. ❌ 能動的座位は循環変動を招き、高用量昇圧剤下では危険。
  2. ❌ 呼吸筋トレーニングは循環動態が不安定な時期には優先度が低い。
  3. ❌ 持久性運動は循環負荷が大きく不適。
  4. ❌ 股関節伸展ROMも侵襲的で優先度は低い。
  5. ⭕ NMESは能動的な循環負荷をかけずに下肢筋の廃用を予防でき、鎮静・昇圧剤下でも実施可能。

午前 問18(実地・正答 2)

肥満・高血圧のメタボリックシンドロームには、関節負荷が少なく強度調整しやすい有酸素運動が適切。自転車エルゴメーターが最適。

  1. ❌ 階段昇降は膝への負担が大きい。
  2. ⭕ 自転車エルゴメーターは非荷重で膝負担が少なく、有酸素運動として強度管理も容易。
  3. ❌ 腹筋トレーニングは無酸素・局所運動で減量効果が低い。
  4. ❌ プランクは静的な体幹運動で有酸素運動ではない。
  5. ❌ ランニングは体重90kgでは膝・腰への衝撃が大きい。

午前 問25(一般・正答 3)

有酸素運動を継続すると善玉のHDLコレステロールが増加する。中性脂肪・LDL・内臓脂肪・IMTは減少する。

  1. ❌ 中性脂肪は有酸素運動で減少する。
  2. ❌ 内臓脂肪は減少する。
  3. ⭕ HDLコレステロール(善玉)は有酸素運動の継続で増加する。
  4. ❌ LDLコレステロール(悪玉)は減少する。
  5. ❌ IMT(動脈硬化指標)は改善(減少・進行抑制)する。

午前 問36(一般・正答 4)

慢性疼痛は生物・心理・社会的要因が複雑に絡むため、多職種チームによる集学的アプローチが望ましい。

  1. ❌ 慢性疼痛に手術が第一に勧められるわけではない。
  2. ❌ 要因は多面的で1つに絞れないことが多い。
  3. ❌ 慢性疼痛は通常3か月以上持続するものを指す(1~2か月は急性~亜急性)。
  4. ⭕ 多職種(医師・PT・OT・心理・看護等)の集学的介入が望ましい。
  5. ❌ 治療目標は痛みゼロではなく、QOL・活動性の向上に置く。

午前 問88(共通・正答 1)

一次救命処置(BLS)で最初に確認するのは意識(反応)の有無。反応がなければ応援要請→呼吸確認→胸骨圧迫と進む。

  1. ⭕ まず意識(反応)を確認する。
  2. ❌ 血圧測定はBLSの最初の手順ではない。
  3. ❌ 呼吸確認は意識確認・応援要請の後。
  4. ❌ 脈拍確認は呼吸確認と同時(医療者)だが最初ではない。
  5. ❌ 対光反射はBLSの手順ではない。

午前 問92(共通・正答 1)

慢性腎臓病では糸球体の障害により蛋白が尿中に漏出し、蛋白尿がみられる。これは腎障害を示す代表的な所見で、eGFR低下とともに診断・重症度分類の指標となる。

  1. ⭕ 蛋白尿は慢性腎臓病の代表的所見。
  2. ❌ 慢性腎臓病では高血圧を来す(低血圧ではない)。
  3. ❌ 代謝性アシドーシスを来す(アルカローシスではない)。
  4. ❌ 低カルシウム血症を来す(活性型VD低下)。
  5. ❌ エリスロポエチン産生は低下する(腎性貧血)。

午前 問94(共通・正答 5)

緩和期のがんリハでは、患者の全身状態・意思に合わせて柔軟にプログラムを変更する。QOL維持が最優先。

  1. ❌ 疲労骨折ではなく、骨転移による病的骨折に注意する。
  2. ❌ 疼痛への温熱療法は状況により用いる(一律禁忌ではない)が、骨転移部への温熱は注意。「禁忌」と断定は不適。
  3. ❌ 緩和期はQOLを優先し、機能回復を最優先にはしない。
  4. ❌ 治療前ADLへの完全回復を目標にするのは緩和期には非現実的。
  5. ⭕ 患者の意思・全身状態に合わせてプログラムを柔軟に変更する。

午後 問14(実地・正答 2)

糖尿病性足病変(右第1指の暗赤色=虚血・壊疽の初期)。潰瘍・壊疽の悪化を防ぐため前足部の免荷が最優先。荷重を避け組織の悪化を防ぐ。

  1. ❌ 寒冷療法は末梢循環をさらに悪化させ禁忌。
  2. ⭕ 前足部の免荷で虚血部への荷重ストレスを減らし、壊疽の進行を防ぐ。
  3. ❌ 速く歩くと虚血部への負荷が増し悪化。
  4. ❌ 足関節ROM運動を控える理由はなく、拘縮予防に必要。
  5. ❌ 歩容の左右差指導は病態改善に直結しない。

午後 問35(一般・正答 2)

がん性疼痛のマネジメントは身体的側面だけでなく、精神的・心理的ケア(全人的苦痛への対応)を含む包括的アプローチが重要。

  1. ❌ 突出痛はある程度予測可能なもの(体動時など)もあり、予防的対応が可能。
  2. ⭕ がん性疼痛のマネジメントには精神的ケア(全人的苦痛への対応)を含む。
  3. ❌ がん性疼痛は複数の原因が絡むことが多く、単一原因に絞れないことが多い。
  4. ❌ がんと診断された時点で既に疼痛を伴うことがある。
  5. ❌ オピオイドはWHO方式で中等度以上の痛みに用い、軽度にはまず非オピオイドを用いる。

午後 問42(一般・正答 4)

糖尿病性神経障害は遠位対称性多発神経障害が典型で、下肢遠位から始まる靴下型(手袋靴下型)感覚障害を特徴とする。

  1. ❌ 緩徐進行性で、急激な発症ではない。
  2. ❌ 自律神経障害は生じるが「自律神経過反射」は脊髄損傷の病態。
  3. ❌ 深部腱反射は低下・消失する(亢進ではない)。
  4. ⭕ 下肢遠位優位の靴下型(手袋靴下型)感覚障害が特徴的。
  5. ❌ 遠位筋優位の障害で、近位筋優位ではない。

午後 問43(一般・正答 1)

リンパ浮腫の複合的治療(複合的理学療法)では、体重管理(肥満はリンパ浮腫を悪化させる)が重要な要素。スキンケア・用手的リンパドレナージ・圧迫・運動と並ぶ。

  1. ⭕ 体重管理は複合的治療の重要な柱。肥満は浮腫を悪化させる。
  2. ❌ 運動は圧迫(弾性着衣・包帯)を装着した状態で行うのが効果的。
  3. ❌ 皮膚は保湿しスキンケアを行う(乾燥はバリア機能低下で感染リスク)。
  4. ❌ 用手的リンパドレナージは禁忌(急性感染・心不全・悪性腫瘍活動期等)があり、疾患を問わず実施可能ではない。
  5. ❌ 多層包帯法は指導のうえ患者本人・家族も実施する(セルフケア)。

午後 問44(一般・正答 5)

腎機能の評価に最も適するのは推算糸球体濾過量(eGFR)。血清クレアチニンと年齢・性別から算出し、糸球体濾過量を推定する。

  1. ❌ HbA1cは血糖コントロールの指標。
  2. ❌ 白血球数は感染・炎症の指標。
  3. ❌ Dダイマーは血栓(凝固線溶)の指標。
  4. ❌ LDLコレステロールは脂質代謝の指標。
  5. ⭕ eGFRは腎機能(糸球体濾過量)を推定する最適な指標。

午後 問86(共通・正答 5)

納豆はビタミンK(納豆菌が産生)を多く含み、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンの抗凝固作用を減弱させる。

  1. ❌ ACE阻害薬は納豆の影響を受けない。
  2. ❌ インスリンは納豆の影響を受けない。
  3. ❌ カルシウム拮抗薬はグレープフルーツで作用増強するが納豆は無関係。
  4. ❌ ループ利尿薬は納豆の影響を受けない。
  5. ⭕ 納豆のビタミンKがワルファリンの作用を減弱させる。

午後 問92(共通・正答 2)

糖尿病の三大合併症は網膜症・腎症・神経障害。眼底・尿蛋白・足部感覚・アキレス腱反射は必須検査。聴力は優先度が低い。

  1. ❌ 眼底検査は網膜症の評価で優先度が高い。
  2. ⭕ 聴力は糖尿病合併症の主要検査ではなく優先度が低い。
  3. ❌ 尿蛋白は腎症の評価で重要。
  4. ❌ 足部感覚は神経障害・足病変の評価で重要。
  5. ❌ アキレス腱反射は末梢神経障害の評価で重要。

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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

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