神経筋疾患|第61回 理学療法士国家試験(14問)
第61回理学療法士国家試験の神経筋疾患分野(全14問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 14問 |
| 実地問題 | 5問(15点) |
| 一般・共通問題 | 9問(9点) |
| 推定配点 | 24点 |
正答一覧
| # | 時間帯 | 区分 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 問12 | 午前 | 実地 | 1 |
| 問15 | 午前 | 実地 | 1 |
| 問16 | 午前 | 実地 | 4 |
| 問17 | 午前 | 実地 | 5 |
| 問38 | 午前 | 一般 | 5 |
| 問40 | 午前 | 一般 | 4 |
| 問83 | 午前 | 共通 | 3,4 |
| 問84 | 午前 | 共通 | 2 |
| 問91 | 午前 | 共通 | 2,5 |
| 問97 | 午前 | 共通 | 4 |
| 問16 | 午後 | 実地 | 5 |
| 問25 | 午後 | 一般 | 5 |
| 問38 | 午後 | 一般 | 2 |
| 問90 | 午後 | 共通 | 3 |
解説
午前 問12(実地・正答 1)
病的反射(Babinski反射など)の正しい検査手技を示す図を選ぶ。Babinski反射は足底の外側縁を踵から母趾方向へゆっくりこすり、母趾の背屈(と他趾の開扇)をみる。選択肢1がこの正しい手技を示している。
- ⭕ 足底外側縁を踵から前方へこする、Babinski反射の正しい検査手技。
- ❌ 刺激部位または刺激方向が病的反射の手技として誤っている。
- ❌ 誤った刺激部位・手技。
- ❌ 誤った刺激部位・手技。
- ❌ 誤った刺激部位・手技。
午前 問15(実地・正答 1)
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は耳石置換法が第一選択。後半規管型に対するEpley法で耳石を卵形嚢へ戻す。
- ⭕ Epley法(耳石置換法)はBPPVの根本治療。発症早期から実施可能。
- ❌ 歩行安定性に問題なく杖歩行練習は不要。
- ❌ 閉眼バランス練習はBPPVの治療にならない。
- ❌ 頭部回旋を避ける指導は代償的で根本治療でない。
- ❌ 頸部筋力増強はBPPVと無関係。
午前 問16(実地・正答 4)
多発性硬化症で頸部前屈時に脊柱に沿って電撃痛が走る=Lhermitte徴候。頸髄後索の脱髄病変を示唆。
- ❌ Barré徴候は錐体路障害の上肢挙上検査。
- ❌ Gowers徴候は筋ジストロフィーの登攀性起立。
- ❌ Horner徴候は縮瞳・眼瞼下垂・発汗低下。
- ⭕ Lhermitte徴候は頸部前屈で背部~下肢に電撃痛が走る、MSに特徴的な所見。
- ❌ Uhthoff徴候は体温上昇で症状悪化する現象。
午前 問17(実地・正答 5)
ALSで下肢筋力低下・鶏歩(下垂足)がある。過負荷は禁忌だが、プラスチックAFOで下垂足を補正した歩行練習が最も適切。
- ❌ ADL自立段階で車椅子操作練習は時期尚早。
- ❌ 漸増抵抗運動(高負荷)はALSでは過用性筋力低下を招き禁忌。
- ❌ 両松葉杖は上肢にも負担で、この段階では過剰。
- ❌ ALSは運動神経疾患で感覚は保たれ、感覚再教育は不要。
- ⭕ プラスチックAFOで下垂足を補正し、安全な歩行を維持する。
午前 問38(一般・正答 5)
完全型腕神経叢損傷では、神経叢全体が障害され近位(肩)から遠位(手指)まで全ての運動障害が生じる。
- ❌ 末梢神経損傷では深部腱反射は低下・消失する(亢進しない)。
- ❌ 完全型(引き抜き損傷)では自然回復は期待できない。
- ❌ 下位型(C8-T1)では手内筋が障害され、肘屈曲(C5-6)は保たれる。
- ❌ 上位型(C5-6:Erb麻痺)では肩・肘が障害され、手指巧緻運動(C8-T1)は保たれる。
- ⭕ 完全型では近位から遠位まで全ての運動障害がみられる。
午前 問40(一般・正答 4)
Hoehn&YahrステージⅡは、両側性の障害があるが姿勢反射障害(バランス障害)はない段階。両上肢の固縮(両側性症状)がⅡの判断根拠。
- ❌ 四肢の拘縮は重症度分類の直接指標ではない。
- ❌ 頻回の転倒は姿勢反射障害を伴うステージⅢ以上。
- ❌ 起立性低血圧は自律神経症状で病期分類の指標でない。
- ⭕ 両上肢の固縮=両側性症状はステージⅡ(両側性、姿勢反射障害なし)を示す。
- ❌ Romberg徴候(姿勢バランス)はⅢ以上を示唆。
午前 問83(共通・正答 3,4)
多発性硬化症のリハでは、運動失調に対する重錘負荷(四肢の安定化)と、視野欠損に対する環境整備(照明の工夫等)が正しい。温熱・高強度運動・体温上昇はUhthoff現象を招くため避ける。
- ❌ 痙縮に対する温熱療法は体温上昇でUhthoff現象(症状悪化)を招き不適。
- ❌ 1RMを反復する高強度筋力強化は易疲労性のMSでは過用を招き不適。
- ⭕ 運動失調に対し重錘を負荷して四肢を安定させる練習は有効。
- ⭕ 視野欠損に対し照明など環境整備を行うのは適切。
- ❌ 歩行障害に対し一律に早期から下肢装具を作製するのは画一的で、病状に応じて判断すべき。
午前 問84(共通・正答 2)
Parkinson病の治療薬はL-dopa(レボドパ)。ドパミン前駆物質で不足したドパミンを補充する。
- ❌ NSAIDsは消炎鎮痛薬。
- ⭕ L-dopaはPD治療の中心薬(ドパミン補充)。
- ❌ コリン作動薬はPDではむしろ症状を悪化させる(抗コリン薬が用いられる)。
- ❌ カルシウム拮抗薬は降圧薬。
- ❌ セフェム系抗菌薬は感染症治療薬。
午前 問91(共通・正答 2,5)
感覚障害を合併するのは多発性硬化症(中枢脱髄)と慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP、末梢脱髄で感覚障害あり)。
- ❌ 重症筋無力症は神経筋接合部の障害で感覚障害はない。
- ⭕ 多発性硬化症は感覚障害を合併する。
- ❌ 筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロン疾患で感覚は保たれる。
- ❌ 肢帯型筋ジストロフィーは筋疾患で感覚障害はない。
- ⭕ CIDPは脱髄性で感覚障害を合併する。
午前 問97(共通・正答 4)
Wilson病は銅代謝異常で、銅が肝・脳・角膜(Kayser-Fleischer輪)等に蓄積する。
- ❌ 亜鉛はWilson病の治療薬(銅吸収抑制)だが蓄積物質ではない。
- ❌ コバルトは関与しない。
- ❌ 鉄の蓄積はヘモクロマトーシス。
- ⭕ Wilson病は銅の代謝異常で銅が蓄積する。
- ❌ マンガンは関与しない。
午後 問16(実地・正答 5)
L-dopa長期服用で薬効時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する=Wearing-off現象(薬効の切れ目)。
- ❌ Cushing現象は頭蓋内圧亢進時の血圧上昇・徐脈。
- ❌ On-off現象は服薬と無関係に症状が急変する現象。本例は薬効時間短縮が明確でWearing-offが適切。
- ❌ Pusher現象は脳卒中後の押しつけ現象。
- ❌ Raynaud現象は末梢血管の発作性収縮。
- ⭕ Wearing-off現象はL-dopaの効果持続時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する運動合併症。
午後 問25(一般・正答 5)
Guillain-Barré症候群は先行感染(上気道・消化管感染)の1-3週後に発症する急性炎症性脱髄性多発神経炎。呼吸器感染を契機とすることが多い。
- ❌ 深部腱反射は低下・消失する(末梢神経障害)。
- ❌ 全年齢に生じ、小児特有ではない(むしろ成人に多い)。
- ❌ 脱髄により神経伝導速度は低下する。
- ❌ 感覚障害は軽度で、運動麻痺が主体。四肢遠位から始まる。
- ⭕ 上気道・消化管の先行感染(Campylobacter等)の後に発症することが多い。
午後 問38(一般・正答 2)
脳腫瘍の部位と症状の対応で正しいのは、小脳→協調運動障害(運動失調・企図振戦・測定障害)。
- ❌ 視床の障害は感覚障害が主で、視力障害は後頭葉・視覚路。
- ⭕ 小脳腫瘍は協調運動障害(失調・企図振戦・測定異常)を来す。
- ❌ 視交叉の障害は両耳側半盲(視野障害)で、失語ではない。
- ❌ 前頭葉障害は人格変化・運動性失語等で、聴力障害ではない。
- ❌ 脳幹部障害は脳神経麻痺・意識障害等で、人格障害は前頭葉。
午後 問90(共通・正答 3)
ALSは下位運動ニューロン障害を反映する針筋電図(脱神経所見・線維束性収縮)が診断に最も有用。
- ❌ SPECTは脳血流評価でALS診断には不適。
- ❌ 頭部CTは他疾患の除外に用いるが確定診断にはならない。
- ⭕ 針筋電図は下位運動ニューロン障害(脱神経・再神経支配)を検出し診断に有用。
- ❌ 頸部超音波はALS診断の主検査ではない。
- ❌ 体性感覚誘発電位は感覚路の評価でALS(運動系)には不適。
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。