義肢装具|第61回 理学療法士国家試験(5問)
第61回理学療法士国家試験の義肢装具分野(全5問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 5問 |
| 実地問題 | 2問(6点) |
| 一般・共通問題 | 3問(3点) |
| 推定配点 | 9点 |
正答一覧
| # | 時間帯 | 区分 | 正答 |
|---|---|---|---|
| 問3 | 午前 | 実地 | 5 |
| 問24 | 午前 | 一般 | 5 |
| 問34 | 午前 | 一般 | 4 |
| 問5 | 午後 | 実地 | 4 |
| 問22 | 午後 | 一般 | 2 |
解説
午前 問3(実地・正答 5)
下腿義足でソケットの初期屈曲角が大きすぎると、立脚後期に体重心が膝軸後方を通りやすくなり膝折れ(膝屈曲モーメント増大)が生じる。
- ❌ 前足部が硬すぎるとむしろ立脚後期に膝伸展方向へ働き、膝折れは生じにくい。
- ❌ 靴の踵が低いと背屈方向となり、膝は安定方向(伸展)に働く。
- ❌ 足部が底屈しすぎると膝伸展モーメントが増え、膝折れは起きにくい(反張膝方向)。
- ❌ ソケットが後方すぎることも膝折れの一因となりうるが、図の義足では初期屈曲角の過大が直接原因である。
- ⭕ ソケット初期屈曲角が大きすぎると膝軸に対し荷重線が後方を通り、立脚後期に膝折れが生じる。
午前 問24(一般・正答 5)
長下肢装具では、大腿下位半月から膝継手までの距離と、下腿半月から膝継手までの距離が等しくなるように配置し、装具の力学的バランスを取るのが正しい。
- ❌ 外側支柱の高さは大転子の1〜2cm下(会陰部より下)に留める。大転子そのものではない。
- ❌ 下腿半月は腓骨頭の2〜3cm下に置く(腓骨頭直下は腓骨神経麻痺のリスク)。5〜6cm下は下すぎる。
- ❌ 膝継手は膝関節裂隙〜内転筋結節の高さに合わせる。「大腿骨顆部2〜3cm下」は不正確。
- ❌ 足継手は内果と外果の中央ではなく、やや後方(解剖学的足関節軸)に合わせる(Lauge基準では内果下端やや後方)。表現として不適。
- ⭕ 大腿下位半月〜膝継手の距離と下腿半月〜膝継手の距離を等しくして力学的バランスを取るのが正しい。
午前 問34(一般・正答 4)
底屈制動式(後方制動)短下肢装具は、遊脚期の足尖引っかかり(下垂足・内反尖足)を防ぐ。脳卒中片麻痺では下肢BRSステージⅤでも痙性による内反尖足が残存することが多く、AFOの適応となる。
- ❌ pogo-stick装具は主に下肢切断者などに用い、脳性麻痺の標準装具ではない。
- ❌ 交互歩行装具(RGO)は対麻痺・二分脊椎に用いるが、機能残存レベルT10では体幹〜股のコントロールが不十分で、RGO単独歩行の適応としては不適切な組合せ。
- ❌ コックアップ・スプリントは橈骨神経麻痺(下垂手)に用いる。正中神経麻痺(猿手)ではなく組合せが誤り。
- ⭕ 足関節底屈制動式AFOは遊脚期の下垂足・内反尖足を制動する。脳卒中片麻痺(下肢BRS Ⅴ)でも痙性内反尖足に対し適応となり、組合せとして適切。
- ❌ ハロー・ベストは頸椎(環軸椎・上位頸椎)の固定に用い、腰部脊柱管狭窄症には使わない。
午後 問5(実地・正答 4)
橈骨神経高位麻痺による下垂手で、手関節・手指の伸展が困難。手関節と手指を背屈方向に補助し、機能肢位に保持する装具(コックアップ/長対立を伴う背屈補助装具等)が適切で、選択肢4の装具がこれに該当する。
- ❌ 下垂手を機能肢位に保持できない装具。
- ❌ 母指対立保持を主目的とする装具で、正中神経麻痺向け。
- ❌ MP屈曲を補助する装具で、尺骨神経麻痺(鷲手)向け。
- ⭕ 手関節・手指を背屈方向に補助し、下垂手を機能肢位に保持する装具。
- ❌ 本症例の手関節・手指伸展障害を補助しない装具。
午後 問22(一般・正答 2)
松葉杖の握りの高さは大転子の高さに合わせ、肘関節を約30度屈曲位にする。
- ❌ 肘は約30度屈曲位で握る(完全伸展位ではない)。
- ⭕ 握りの高さは大転子の高さに設定する。
- ❌ 脇当ては腋窩から2-3横指(約5cm)下げ、腋窩神経圧迫を防ぐ。隙間なくは禁忌。
- ❌ 杖長は身長×0.77程度、または身長-41cm程度。50cm引くは不正確。
- ❌ 杖先は足尖の前外側15cm程度に置く。5cmは近すぎる。
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。