運動学|第61回 理学療法士国家試験(19問)

第61回理学療法士国家試験の運動学分野(全19問)。問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答とNetwork-Primer独自解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は第61回 PT 全問ページおよび厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

概要

項目数値
出題数19問
実地問題7問(21点)
一般・共通問題12問(12点)
推定配点33点

正答一覧

#時間帯区分正答
問1午前実地5
問2午前実地3
問22午前一般5
問26午前一般1
問70午前共通1,2
問72午前共通4
問73午前共通1,2
問1午後実地3
問2午後実地5
問4午後実地4
問6午後実地1
問18午後実地2
問21午後一般1,5
問31午後一般3
問70午後共通5
問71午後共通3
問72午後共通3
問73午後共通1,4
問74午後共通5

解説

午前 問1(実地・正答 5)

股関節屈曲測定で膝伸展位のまま屈曲すると、ハムストリングスの緊張ではなく、対側(右)の腸腰筋短縮があると骨盤が引かれて代償が生じる。図の状態は右腸腰筋短縮によりトーマステスト様の肢位を示唆。

  1. ❌ 股関節屈曲測定では骨盤を固定し後傾させない。骨盤の動きは代償となる。
  2. ❌ 股関節屈曲の基本軸は体幹と平行な線(矢状面)で、大転子を通る水平線ではない。
  3. ❌ 股関節屈曲の参考可動域は125度である。150度ではない。
  4. ❌ 屈曲制限因子は主にハムストリングスや後方関節包。腸骨大腿靱帯は伸展制限因子。
  5. ⭕ 測定側でない右股関節が伸展できず持ち上がる場合、右腸腰筋(股関節屈筋)の短縮が疑われる。

午前 問2(実地・正答 3)

段階1(筋収縮のみ、関節運動なし)の検査で図の肢位から短腓骨筋を触診。短腓骨筋は外果後方を通り第5中足骨底に停止し、足の外がえしに働く。

  1. ❌ 後脛骨筋は内がえしに働き、内果後方を通る。
  2. ❌ 前脛骨筋は足背屈・内がえしで、下腿前面にある。
  3. ⭕ 短腓骨筋は足の外がえしに働き、外果後方で触知できる。段階1では収縮を触診で確認。
  4. ❌ 長母指屈筋は母指の屈曲に働く。
  5. ❌ ヒラメ筋は足底屈の主動作筋で下腿後面深部にある。

午前 問22(一般・正答 5)

安静立位の重心線は、乳様突起→肩峰→大転子→膝関節前部→外果の前方を通る。外果の前方が正しい。

  1. ❌ 耳垂ではなく乳様突起の前を通る(耳垂の後方でなく概ね通過点)。表現として不正確。
  2. ❌ 重心線は肩峰を通る(前方ではない)。
  3. ❌ 大転子を通る(前方ではない)。
  4. ❌ 膝蓋骨後方~膝関節前部を通り、膝蓋骨の前方ではない。
  5. ⭕ 重心線は外果の前方2~6cmを通過する。正しい。

午前 問26(一般・正答 1)

正の転移とは、既習の運動技能が新しい類似技能の習得を促進すること。ソフトボール経験が野球投球の習得を早めるのは正の転移の典型例。

  1. ⭕ 正の転移=先行学習が後続の類似課題の習得を促進する。ソフト→野球投球はその例。
  2. ❌ エラーレス学習は誤りを起こさせない学習法。二重課題(歩行+計算)の説明は誤り。
  3. ❌ 同時フィードバックは動作と同時に情報提供すること。動画を後で確認は「遅延フィードバック」。
  4. ❌ パフォーマンスの知識(KP)は動作の質に関する情報。荷重量を伝えるのは結果の知識(KR)。
  5. ❌ メンタル・プラクティスはイメージ練習。試行錯誤の反復は該当しない。

午前 問70(共通・正答 1,2)

運動軸が1つ(1自由度)の蝶番関節は、腕尺関節(肘屈伸)と母指IP関節(屈伸)。

  1. ⭕ 腕尺関節は蝶番関節で運動軸1つ(屈伸のみ)。
  2. ⭕ 母指IP関節は蝶番関節で運動軸1つ。
  3. ❌ 示指MP関節は顆状関節で2軸(屈伸・内外転)。
  4. ❌ 肩甲上腕関節は球関節で3軸。
  5. ❌ 橈骨手根関節は楕円関節で2軸。

午前 問72(共通・正答 4)

体幹の回旋では、同側の内腹斜筋と対側の外腹斜筋が協働する。図の回旋方向に対応する主動筋として右内腹斜筋が正しい。

  1. ❌ 右多裂筋は同側伸展・対側回旋に働くが、主たる回旋筋ではない。
  2. ❌ 左腰方形筋は側屈が主。
  3. ❌ 右外腹斜筋は左回旋に働き、図の運動方向と逆。
  4. ⭕ 右内腹斜筋は同側(右)回旋に働き、図の運動に一致する主動筋。
  5. ❌ 左脊柱起立筋は同側側屈・伸展が主。

午前 問73(共通・正答 1,2)

歩行の荷重応答期(踵接地後)で遠心性収縮するのは前脛骨筋(足底接地を緩やかにする)と長指伸筋(協働)。

  1. ⭕ 長指伸筋は荷重応答期に遠心性収縮する。
  2. ⭕ 前脛骨筋は荷重応答期に遠心性収縮し、foot slapを防ぐ。
  3. ❌ 短腓骨筋は立脚中期以降に働く。
  4. ❌ ヒラメ筋は立脚中期〜後期に働く。
  5. ❌ 長母指屈筋は立脚後期の蹴り出しに働く。

午後 問1(実地・正答 3)

肩関節屈曲/外転の測定では、代償として肩甲骨が動く(前方突出・挙上)ことに注意する。図の肩関節可動域測定で肩甲骨の代償運動を抑えることが重要。

  1. ❌ 肩関節屈曲・外転の基本検査肢位は座位または立位で、側臥位ではない。
  2. ❌ 肩関節屈曲の参考可動域は180度(150度ではない)。
  3. ⭕ 肩甲骨の前方突出・挙上などの代償運動に注意して測定する。
  4. ❌ 屈曲の移動軸は上腕骨で、橈骨茎状突起と肩峰を結ぶ線ではない。
  5. ❌ 基本軸は肩峰を通る床への垂直線であり、烏口突起ではない。

午後 問2(実地・正答 5)

肩関節屈曲のMMTでは、上腕二頭筋など肘屈筋による代償(肘屈曲)が生じないことを確認する必要がある。肩関節屈曲そのものの筋力を正しく評価するため、肘屈曲の出現を監視する。

  1. ❌ 段階4以上の肩屈曲は座位で行う(背臥位は段階2)。
  2. ❌ 前腕は中間位が基本で、回外位に限定しない。
  3. ❌ 抵抗は屈曲最終肢位ではなく、屈曲90度付近(可動域中間〜検査肢位)で加える。
  4. ❌ 抵抗は上腕骨遠位部から加える(近位部ではテコが不適切)。
  5. ⭕ 肩関節屈曲の代償として肘屈曲(上腕二頭筋の関与)が出現しないことを確認する。

午後 問4(実地・正答 4)

腹臥位で膝を屈曲させると殿部が持ち上がる(尻上がり現象/Ely徴候)=大腿直筋(二関節筋)の短縮。膝屈曲で大腿直筋が伸張され股関節を屈曲させる。

  1. ❌ 大殿筋は股関節伸筋で短縮しても尻上がり現象は生じない。
  2. ❌ 腸腰筋短縮はトーマステストで評価し、腹臥位膝屈曲での尻上がりとは異なる。
  3. ❌ 梨状筋は股関節外旋筋で本現象とは無関係。
  4. ⭕ 大腿直筋の短縮で膝屈曲時に骨盤前傾・股屈曲(尻上がり現象、Ely徴候)が生じる。
  5. ❌ 大腿二頭筋(ハムストリングス)は膝屈筋で、短縮しても尻上がりは生じない。

午後 問6(実地・正答 1)

棘果長(ASIS〜内果)は左右差あり(右84.0/左82.0=左2cm短い)だが、転子果長(大転子〜内果)は左右同じ(80.5)。棘果長だけ短い=大転子より近位(股関節)の問題。左股関節裂隙の狭小化が原因。

  1. ⭕ 棘果長のみ左が短く転子果長は同等=股関節部(大転子より近位)の短縮。左股関節裂隙狭小化が該当。
  2. ❌ 膝関節裂隙狭小化なら大腿長or下腿長に差が出るが、両者とも左右同じ。
  3. ❌ 足関節裂隙の問題なら下腿長に差が出るはずだが同じ。
  4. ❌ 膝屈曲位拘縮なら見かけ上短縮するが下腿長・大腿長は計測上変わらず、転子果長にも差が出るはず。
  5. ❌ 足関節底屈位拘縮は下肢を長く見せる要因で、棘果長短縮の説明にならない。

午後 問18(実地・正答 2)

高強度45秒と低強度90秒を交互に繰り返す=インターバルトレーニング。高負荷と回復を交互に行い、持続困難な運動を可能にする。

  1. ❌ Ramp負荷は負荷を連続的に漸増する方法。
  2. ⭕ 高強度と低強度を交互に組み合わせるのはインターバルトレーニング。
  3. ❌ コンディショニングは準備的な調整運動全般を指す。
  4. ❌ サーキットトレーニングは複数種目を巡回する方法。
  5. ❌ 多段階漸増負荷は段階的に負荷を上げる(交互ではない)。

午後 問21(一般・正答 1,5)

正常歩行の垂直分力は2峰性(荷重応答期と立脚終期にピーク)。前後分力のピーク値は歩行速度が遅くなると小さくなる。

  1. ⭕ 垂直分力は2峰性波形(体重の約1.1-1.2倍のピークが2つ)を示す。
  2. ❌ 垂直分力の最小値(立脚中期)は体重より小さくなる(体重と等しくならない)。
  3. ❌ 左右分力は立脚中期に内向き(内側)に働く。
  4. ❌ 前後分力は荷重応答期には後向き(制動)に働く。前向き(駆動)は立脚後期。
  5. ⭕ 前後分力のピーク値は歩行速度が遅くなると小さくなる。

午後 問31(一般・正答 3)

歩行率(ケイデンス)は単位時間あたりの歩数で、単位は歩/分(steps/min)。

  1. ❌ パーセントは歩行比などの相対値の単位。
  2. ❌ 秒/歩は1歩あたりの時間(歩行周期の逆数的表現)。
  3. ⭕ 歩行率(ケイデンス)の単位は歩/分。
  4. ❌ メートル/分は歩行速度の単位。
  5. ❌ メートル/歩は歩幅(ストライド長)の単位。

午後 問70(共通・正答 5)

前鋸筋(下部)と僧帽筋上部線維はともに肩甲骨の上方回旋に働く(force couple)。上肢挙上時に協働する。

  1. ❌ 下制は僧帽筋下部・小胸筋等。
  2. ❌ 挙上は僧帽筋上部・肩甲挙筋(前鋸筋は主作用でない)。
  3. ❌ 内転は僧帽筋中部・菱形筋。
  4. ❌ 下方回旋は菱形筋・小胸筋・肩甲挙筋。
  5. ⭕ 前鋸筋と僧帽筋上部線維はともに上方回旋に働く(共通作用)。

午後 問71(共通・正答 3)

支持基底面は接地している両足底とその間に囲まれた面積を含む。

  1. ❌ 幼児の重心は成人より高く、第12胸椎付近など高位。「仙骨のやや前方」は成人の重心(第2仙椎前方)。
  2. ❌ 安静立位の重心線は大転子・肩峰等を通り、上前腸骨棘は通らない。
  3. ⭕ 支持基底面は足底とその間を含む面である。
  4. ❌ Romberg肢位(閉脚)は開脚立位より支持基底面が狭く不安定。
  5. ❌ 安静立位でも身体重心は常に前後左右に動揺している(姿勢動揺)。

午後 問72(共通・正答 3)

長腓骨筋は足部の外がえし(外反)と底屈に働く。腓骨神経(浅腓骨神経)支配で、外側縦アーチと横アーチの保持にも関与する。

  1. ❌ 後脛骨筋は内がえし(内反)に働く。
  2. ❌ 長指屈筋は足趾屈曲・内がえし補助。
  3. ⭕ 長腓骨筋は足部の外がえし(外反)に働く。
  4. ❌ 長母指屈筋は母趾屈曲。
  5. ❌ ヒラメ筋は足底屈の主動作筋。

午後 問73(共通・正答 1,4)

遠心性収縮(筋が伸張されながら張力発揮)は、頭上の手を下ろすとき(三角筋前部が伸びながら制御)と、椅子に座るとき(大腿四頭筋が伸びながら制御)。

  1. ⭕ 頭上の手を下ろすとき、三角筋前部は遠心性収縮で制御する。
  2. ❌ 懸垂で体を上げるときの上腕二頭筋は求心性収縮(短縮)。
  3. ❌ 腕立てで肘を伸ばすときの上腕三頭筋は求心性収縮。
  4. ⭕ 椅子に座るとき大腿四頭筋は遠心性収縮でブレーキをかける。
  5. ❌ つま先立ちのヒラメ筋は求心性収縮(短縮して底屈)。

午後 問74(共通・正答 5)

遊脚後期(terminal swing)では、遊脚側下肢が振り出された後、接地に備えてハムストリングス等が働き動きが減速する。

  1. ❌ 高齢者では歩幅減少・歩行率変化で歩行比(歩幅/歩行率)はむしろ小さくなる傾向。
  2. ❌ 歩行周期中、膝関節は2回屈曲する(立脚期の軽度屈曲と遊脚期の大きな屈曲)。
  3. ❌ 股関節伸展が最大になるのは立脚終期(爪先離地の直前)。
  4. ❌ 荷重応答期では体重心は足部の直上ではなく後方寄り。立脚中期に足部直上。
  5. ⭕ 遊脚後期に遊脚側下肢の動きが減速する(接地の準備)。

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出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

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